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ピッツ・ア・パニック!  作者: 一条篝峰 幽現
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第5工程 ピザストーリーは突然に(5)

 あの後マイドゥに配達か、指詰めかの脅迫めいた選択を迫られていたイツモを見かね、リヨが二人を引き離して強引に収束させた。


 興奮するマイドゥをなだめ、次に怯えるイツモに働く以外に道はないことを伝える。そして挨拶もそこそこに、ピザが出来上がるまでの5分ほどで、配達の基礎とバイクの基本操作を軽く指導した。


 最後に通信装置を渡して、


 「これを耳にはめてください。これで道中、あなたのナビゲートを行います。私はオペレーターなのでバックアップしかできません。けど何かありましたら、装置をはめた耳に手を当ててください。そうすると通信が可能になります。では、改めてよろしくお願いします、イツモさん。いってらっしゃい!」


 「はい、よろしくお願いします、リヨさん。いってきます……」


 そうして熱々のピザを荷台に積み、いざ出発の時。元気よく送り出してくれたリヨには悪いが、不安いっぱいのイツモである。


 ガレージと呼ばれるバイク収納庫から、店の前の大通りへと出た配達用バイク。


 するとすぐにリヨから通信が入った。


 『聞こえますか、イツモさん? まずは次の交差点を左に曲がってください』


 「大丈夫です、聞こえますよ。分かりました、左ですね」


 交差点でバイクを左折させるイツモ。そこでまた、リヨから通信が入る。


 『イツモさん、初めての配達で、まだまだ分からないことだらけでしょう? なので今回はこのまま通信を繋げたままにしましょう』


 「はい、正直助かります」


 『繋げたまま無言でいるのもお互い気まずいので、何かお話でもしましょうか。……今配達に向かっているペドロ様というのは、うちの開店当初からの常連様なんですよ。あ、次は右に曲がってください』


 右折するイツモ。


 『で、そのペドロ様の住んでる地域は泥沼川町といって、現在ケガで療養中のシャーセという方が担当していました。今まではシャーセさんがうまいこと配達してきたんですけど、それはエースドライバーとしての彼の技量あってこそ為せるものなんです。何せこの泥沼川4丁目のルートは、カヤコス屈指の難関ルートと呼ばれていて、本来新人に配達を任せるような場所ではないんですよねぇ』


 「えっと……どういう……――――」


 『あっ、今度はそこの高いビルのところを右に曲がってください』


 いまいちリヨの言っていたことが理解できていないイツモであったが、とりあえず指示通りにバイクを走らせる。


 『あと、気を付けてくださいね』


 右に曲がったイツモ。


 「!?!?!?!?!?!?!?」



 ――――――――――道が無い!?



 『そこ、道が途切れているので』


 リヨが注意を呼びかけた時には、バイクは勢いよく空中に飛び出していた。そしてなす術なく勢いを失ったバイクは、イツモの絶叫と共に落下していく。


 「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ………………―――――――――――――」

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