表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ピッツ・ア・パニック!  作者: 一条篝峰 幽現
3/6

第2工程 ピザストーリーは突然に(2)

 「弁・償・し・ろ」


 「……あ、いや……その…………」


 高圧的な雰囲気の中年男性と、完全に萎縮して目の泳いでいるイツモが、向かい合って座っていた。


この経緯に至るには、先ほどの事故直後まで遡る。



    ※ ※ ※



 通報を受けて駆けつけた警察と救急隊員によって、混乱していた事故現場は落ち着きを取り戻しつつあった。


 一時は野次馬で溢れていたが、それも今はほとんど見られない。


 交通の混乱を避けるためトラックとバイクはすでに撤去され、重症のドライバーは緊急搬送されていった。


 そしてイツモはというと――――――


 事故の原因は彼だ! と証言があり、警察署で事情徴収を受けていた。


 何時間も質問と説教をされ、終わるころにはすっかり疲れ果てていた。


 「いいね? 今度からはしっかり注意するように」


 「……はい、すみませんでした。それで、あの――――」


 ずっと気がかりだったことを、緊張気味に尋ねるイツモ。


 「バイクの人って、どうなったんですか?」


 「ああ、彼ね。さっき連絡があって命に別状はないみたいだよ」


 無事の知らせにホッと胸をなで下ろすと、


 「そっか……、よかった」


 「いいわけあるかぁ」


 低く威圧的な声が、突然後ろから聞こえた。


 驚いて振り向くと、そこには見知らぬ男性がイツモを見下ろしている。


 全体的に清潔感があり、髪や爪までキレイに整えてある中年男性。


 全く心当たりのない相手に、イツモは再び緊張が走り、


 「えっと……誰、ですか?」


 ――――ガシッ!


 「え!?」


 「来い」


 なんの説明もなしに有無をいわせず、頭を鷲掴みにされて連行されていった。



    ※ ※ ※



 ――――そして現在。


 イツモが連れてこられたのはカヤコス唯一のピザ屋である『Pizza Panic』の事務室だった。


 都心の一等地にある『Pizza Panic』の店舗は、なかなか立派な店構えで、連日絶えず賑わいをみせている。


 そんな人気店の事務室に、先程の男性、店長のマイドゥとイツモが話し合っていた。


 内容は当然事故について。


 「なんでここに連れてこられたのか、分かるよな?」


 「…………」


 小鹿のように震えてうつむいているイツモ。


 「よくもうちの大事な従業員と、備品のバイクを台無しにしてくれたな」


 嫌な汗が溢れるのに寒気がするイツモ。


 一方的に静かな怒りをぶつけるマイドゥは追い打ちのようにさらに、


 「弁・償・し・ろ」



 ――――こうして冒頭へ戻るのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ