あなたに捧げる私の祈り
それはあまりに広大で、一つのものをじっくり見るといつも新しい発見があった。
あの頃わたしはその世界が全てだと思い込んでいた。
次第に成長して、その世界を離れて新しいことをたくさん経験した。
望む望まないに関わらず大人の世界に足を踏み入れた私は、家に帰った。
久しぶりにのんびり過ごして、自室の窓から外を眺める。
懐かしい景色だと思っていたのに、気付けばそれは小さく見えて、世界のちっぽけさを知りました。
今いる世界はもっと広い。あの頃の世界よりはるかに広い。
それでもきっと、ちっぽけなのは変わらない。
世界はどんどん広がって、小さいものが見えなくなって、いつしか自分を見失う。
ふと窓から外を見てみると、小さな世界が鈍く輝いたのです。
そんな世界で私は生きる。わたしは一人、生きていく。
きっと大海に憧れながら、そっと目蓋を閉じるのです。
隣で笑ったあの子はきっと、その大海で泳ぐのです。
いつしかその海で溺れてしまわぬよう、私はここから祈りましょう。
世界はすでに色あせました。それに気づけた私は幸せ者なのです。
だから私は祈りましょう。
あなたが、その世界に呑まれぬように。
私があなたに呼びかけることはありません。きっと声は届かないから。
だから私は祈りましょう。
あなたが、その決断をしてしまわぬように。
きっと明日は訪れる。それを知らなかった私は愚か者なのです。
いつしかあの太陽に身を焼かれてしまわぬよう、私はここから祈りましょう。
あなたが愛したあの子はきっと、あの太陽に憧れるのです。
そんな太陽を求めながら、そっと目蓋を閉じるのです。
そんな世界で私は生きる。あなたも一人、生きていく。
ふと窓から外を見てみると、広がっていたのは闇だけなのです。
――そう、闇だけだったのです。
私の祈りは届きましたか?
……本当に届きましたか?
いま、あなたの窓の外に広がっているのが、闇だけでないことを祈ります。