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落ちた紅の花びら 〜A petal named Liselle〜  作者: マメ
3章 幕開け編

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第30-2話 〜新たな黒い灯火〜


パウラのことだった。

彼らにとっては他人の人生など取るに足らないものなのだろう。

「はい、オルヴェウス様の力を注ぎました故、あれはもう慈しみの血ではありませぬぞ。このジョアモズの渾身の一品、いえ、渾身の一滴にございまする」

鼻を高くするジョアモズの悪い癖が出た。

「そうか、その言葉嘘だったら分かるな?」

と言い残し奥へと入って行った。

ジョアモズにとってアダムノアは特別な存在だった。大司教として敬う心さえ持っていた。




「セヴラン居るのか?セヴラン」

と、ドアを叩きそう呼んだ。

開くドア、

「何じゃこんな遅くにアダムノアよ」

と、不機嫌な男はオルヴェウス教の教皇だった。

「そう怒るな入れてくれよ。折角こんなとこまで来たのだからな」

と、部屋に押し入るアダムノアだった。


この二人は従兄弟同士だった。

本来ならエレスミアの元で赦しを説いて居たかったセヴラン。

今でもアベラルドとのやり取りの楽しさが忘れられなかった。

ヴァルグラムにサングィナトーレスを乗っ取られた日から、否応なくオルヴェウスを崇める身に落ちてしまったのである。

そして、このアダムノアはヴァルグラムの手先のような男で、従兄弟でなかったらとうに【救済】をしてやりたいほどの恨みがあった。


「で、要件とはなんだ?すぐに引き上げよアダムノアよ」

相変わらず露骨に目をひそめるセヴラン。

「まあ、そう言うなよ。いよいよわしも動くことにしたぞ。ここだけの話だがな」

と、声を抑えるアダムノア

話によると遂にガレンが動くと言うのだ。

ガレンとは前身サングィナトーレス騎士団のセントリオルムにして、その武勇を轟かせていたものだ。


「ほほぉ、遂にあやつがの、とうとうヴァルグラムも用済みなのじゃな?」

と白髭を引きつつも口角を上げるセヴラン。

それもそのはずである。

今のサングィナトーレスの前身団体はリアン討伐を掲げ、先日【救済】されたパパス侯爵と共に立ち上げた物だったのだ。

ヴァルグラムが私利私欲のために乗っ取り、悪行の限りを尽くしてきたのが、現行サングィナトーレスである。


「しかし、それは本当なのだろうな、ガレンはエリシアの報復に倒れたのじゃなかったのか?」



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