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落ちた紅の花びら 〜A petal named Liselle〜  作者: マメ
3章 幕開け編

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第25-2話 〜旅立ちのかたち〜


「ああ、済まぬな。いい年をして恥ずかしい」

精一杯に普段着を装うアベラルド。

志を共にして来た同志が死んだのだ。

そこに泣いて誰が責めようか?

「いいえ、司祭様のお気持ちは……」

クラウディアのせめてもの心遣いであった。

他に余計な物は要らない。


詳細を語り出すアベラルド、

「わしの顔を見るなり泣き出しおっての、サイノゼールを殺した。リヴィアが危ないと喚き出しおって、そして自らの胸を突いたのじゃ」



——サイノゼールを殺した


膝から崩れた。

次いで、ダラリと両手の甲が床を打った。

落胆するクラウディアの頭には、生還の晩餐のあの空席の光景が……


嫌な予感は当たるものだった。


幼少期にカイルの保護下に育ったクラウディア。

カイルと共によく世話をしに来てくれたのが、彼の親友のサイノゼールだった。

そして『フェンガーリア』に任命された時も、自分の娘のように喜び、そして泣いてくれた。


そんなサイノゼールが……


(こんな時、自分に何ができるのだろう)

カエサルはそう思い、何となく焦りのような感覚が言葉を吐き出させた。

「く、クラウディア様。そのリヴィアという方が危ないのでは」


痛むクラウディアの胸を揺さぶるカエサルの声。

大理石の床の上で拳が二つ、それは血が滲む程強く結ばれた。

「は!?」

とカエサルの顔を睨みつけるクラウディア。

俄かに後退りするカエサル。

その気迫に、まずいことを言ってしまったかと後悔の念が掠めた。

しかし、

「ありがとうカエサル。今は嘆いている時ではなかったわ」

その言葉にホッとするカエサルが、素直な疑問を投げかけた。

「そのリヴィアという人は誰なのですか?」

少し間を置くクラウディア、アベラルドに了承を得るように見つめる。

「いや、わしも知らんのだよ。そのリヴィアという御仁を」


話していいものか悩んだ挙句この二人にならと、

「リヴィアとはセリナの妹です。そしてユトレーデルで私と共に暮らしていました」

と打ち明けた。

「な、何とセリナ様に妹が——」

と、驚きを露わにするカエサル。

そして、

「いや、ちと待てユトレーデルとはなんとも……」

信じ難いと言いたいのだが、こんな時に嘘を言うクラウディアでもないと、改めるアベラルド。

「しかし、グランヴェル殿が何故その方を」

と、カエサルの素直な疑問が確信へと誘う。

「その後ろということじゃな?」

と、含むようにアベラルドが続けたが、みな考えることは同じと見えた。

「しかし、グランヴェルの他に彼の言いなりになるような者がいるとは……」

と、他人の詮索に疎いクラウディアには皆目見当もつかなかった。


「あ、そうだったのか——」

何かを思い出したカエサル。

「何、何か知っているの」

焦りが早口を作り上げる。

「いえ、つい先日偵察の者から」

と、切り出すカエサルだった。


この間、フェルクイエスにやって来た伯爵の遣いの馬車が、北の地で発見されたと言う。

『見間違いでは?』

と聞いた所、こう返って来たと言う。

『あんな立派な飾り付けはそんなにありませんよ。あれはあの伯爵様の馬車に違いありません』

というのだと。

「……!?、北の地。まさかアラコールではあるまいな?」

アベラルドが訝しそうに言う。

グルグル回る、クラウディアの脳を何かが駆け巡った。


すれ違う騎馬——フードの下の目……

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