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落ちた紅の花びら 〜A petal named Liselle〜  作者: マメ
2章 カサルモス編

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第20-2話 〜種を蒔く者、拾う者〜


「なんと、ワンヴュエズだと!?あれがまだ生きていたと——」

ついに立ち上がり叫んでしまったマルセル。

「はい、たまたま調査隊が発見しまして、しかしその配下は三十人以上に膨れ上がっておりまして、どうしたモノかと?」


ワンヴュエズとは、吸血鬼の残党を寄せ集め世話をしている大男の吸血鬼だった。

そして、かつては彼もまたフェルクイエスに席を置いていたのであった。


「せっかくクルヴァルス計画の材料を見つけても、あの大男が居ては……」

真に困った様子のファビウス。

「奴が相手では、お前のとこのセントリオルムでも歯が立たぬだろ?」

「ええ、あのテオドラも討伐を躊躇う程でして……」

と弱気な一面を披露した。

「あの夜叉でさえか!?そうなると」

マルセルまでもが悩み出す始末。

「ええ、たとえ小隊の五、六個を送ったところで浪費になるだけだろ?と彼女でさえそう言うモノですから……」

精鋭部隊の無惨な死が頭をよぎり、身体をぶるっと震わす二人。


そして一通りを話し終え、見送りに出るマルセルが、

「では、今後ともよしなにとお伝えくだされ」

と、一芝居打っていると、そこへ声が飛んできた。


「お客人か、マルセル。入出管理には届けてあるのだろうな?」

「おお、これはヴァルテリウス閣下。こちらは伯爵様のお遣いでして、今後の支援の算段にと」


(げっ、ヴァルテリウスだと!?)

全身を氷の冷たさが襲った。

文官のファビウスとてその名の恐ろしさは知っている。


「そうか、必要事項はあまり怠らないようにな!それでは失礼する」

そう言いながらもファビウスに刺さるような視線を残して立ち去るセリナだった。


セリナが角を曲がるのを待って、

「あれが噂の跡取りですか?生きた心地がしませんでしたよ……」

と胸を撫で下ろすファビウス。

「ああ、いつまであんなデカい顔が出来るか楽しみだ」


叛逆の狼煙はとうに上がっている——


視線はいつまでもセリナの消えていった角に据えられたまま、拳を握るマルセルだった。




——そして、フェルナスの村


そこに、廃墟の陰から覗き見をする者がいた。


その背後から、

「どうした、何をしている?」

と、歩み寄ったのは、物資調達隊の隊長カッシヤヌスだった。

「あれを!」

と説明するより見てもらった方が早いと。

そしてカッシヤヌスが同じく覗くと、

「何だあれは?どうなっているんだ?」

隠れていることを忘れて大声で喚いてしまった。


それもその筈である。

そこには三十を超える吸血鬼が、大男二人を囲むように空に浮いていたのだった。

「おい、あれはワンヴュエズじゃないか?」

さらに驚き食い入るカッシヤヌス。



「みんなやっちまえ!」

と、響き渡る大声を放つワンヴュエズ。

その号令に、空を覆うカラスのような影が一斉にリアンに飛びかかった。

大剣をまるでススキの穂を振るように軽々と振り回し、次々と“カラス”を落としていくリアン。

忽ち三十からの死体の山が築かれることとなった。


それは手を三つ叩くよりも一瞬の出来事だったのではないか?

カッシヤヌスたちはそう思ったに違いない。

(あんな大剣をあんな簡単に……)

戦慄と共に頭に過ぎる禁忌の名。

「隊長、あんなの……あんなことができる奴なんて!?」

ブルブルと振るえるその手は、添えた廃墟の壁をカタカタと鳴らした。


(やはり、お前もそう思ったのか?)

当たって欲しくない勘が当たってしまったように、確信に変わっていくカッシヤヌス。

それが半ば絶望となり、カッシヤヌスをそこに棒立ちにさせるのだった。


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