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落ちた紅の花びら 〜A petal named Liselle〜  作者: マメ
3章 幕開け編

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第35-2話〜再会〜


その男からしたらクロエの方こそ、

『何だい?』

であった。

そして、クロエの見た目に怯えながらも、のそのそとクロエに歩み寄る。

お互いに敵意がない事を理解はしているようだった。

そして、クロエの三歩ほど手前で、

スタン、

と、草の上に倒れてしまった。

「おい、どうしたんだいアンタ。しっかりしなよ」

と、男を抱き起こすクロエ。

そこへ、やはり気の利く相棒ピュチェリ。

さっきの岩から木の実を持てるだけ持ってやって来た。

「ギィっ!」

と、ひとつ鳴く。

「何だい、腹が減ってるってのかい?」

と、木の実を受け取り、殻を割って与えるクロエ。

礼も言わず、奪い取る様に食べるその男。

食べ終えやっと、

「助かりました。あ、私はファリオと申します」

と、名乗った。

「いいよ別に。それよりアンタが、あいつをやったのかい?」

と、顎で異形の死体を指した。

「え!?いいえ。あ、あれは……、私の弟でして……」

と、言い難そうにそう話すファリオだった。

「弟?これが人……なのかい!?」

と、忖度無しのクロエの言葉。

やや控えめに苦笑いするファリオ。

そこに、

「しかし、酷い有り様だけど、聞いても差し支えないかい?」

と、クロエが好奇心を止めずに。

まあ、当たり前だろう。

こんな見た目をした者を見たら、誰でもその理由を聞きたくなる筈であった。

それに応え、

「私たちは逃げ出して来たのです」

と、ファリオが語り出した所で、

「う、うーん」

と、声が後ろからした。

「……?」

目を疑うクロエ。

あのドス黒い死体が動いたのである。

咄嗟に身構えるクロエ。

「ギギギっ!」

と、警戒を露わにするピュチェリ。

一気に臨戦体制へと、長閑だった平野が変わっていった。

「待ってください。グレンも落ち着け!」

と、ファリオが間に入った。

大人しく座り込むドス黒い顔のグレン。

「アンタの言う事は聞くのかい?」

と、普段着に戻るクロエが問い掛ける。

「はい、よほど興奮しなければ?」

と、確実では無い事を匂わせ、そう言った。

「で、話は途中なんだが何処から逃げ出したんだい?」

先の気になるクロエが、待ちきれず、

「ああ、そうでした。私たちは」

と、話しをやっと再開させた所で、

「よおっ、待たせたな!」

と、懐かしい声が、

「リアン!?」

と、振り返り呼ぶクロエだった。


「グググ、グゥあーっ!!」

と、突然唸るグレン。

「やめろ!」

と、制止するファリオ。

ところが、制御が効かない。

熊の様な大きな身体と、その手の爪。

それを振りかぶり、リアンに向かったのだった。



——墨絵の森が続く


ゴトゴトゴト、

と、木の車輪を、地べたの石ころや枯れ枝にぶつける。

その車輪が運ぶのは、これまた豪奢な金の装飾の馬車だった。

そして、その馬車はアラコールの地に到着したのだった。

馬車を降りて、いそいそと足速に歩く初老の姿があった。

(誰も出迎えに来んのか?)

と、随分と不貞腐れた様子だった。

「ヴァルグラムの居所は何処だ?」

その問い掛けに怯える者さえ居た。

それもその筈、このアラコールの地で、総督の名を呼び捨てる者など居なかったからだ。

「誰だ騒々しい?」

と現れたのは、いつものアダムノアだった。

「おお、お前か?ヴァルグラムは何処だ?聞いても誰も答えんぞ!」

と、憤慨が破裂しそうな初老。

(コイツにお前呼ばわりされる覚えは無いぞ!)

と、心の中でしか言えないアダムノアはさっそく小者ぶりを発揮するのだった。


「提督に御用かな?シリウス殿」

と、傍から声をかけたのは、知恵者で名高い執政総長のルキウスだった。



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