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落ちた紅の花びら 〜A petal named Liselle〜  作者: マメ
3章 幕開け編

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第35-1話〜再会〜


おチビクロエの村を離れ、ヴァルミナの北方へと進むクロエ。

ポツリポツリと置かれた石岩が晴れ渡る空の下、野原にいいアクセントとなっていた。

「気持ちいい天気だね、あの岩でひと休みと洒落込もうかね」

と、クロエもその風景の一部へとなっていった。

さぁて、と木の実を広げ所望しようとしたところへ、

「痛っ!」

と、声に出すクロエ。

リスのピュチェリがクロエの耳の後ろを引っ掻いたのだ。

「何をするだい?」

とは聞かないクロエ、ピュチェリがそうするのには訳があると知っていた。

しかし、今回は理由が分からなかった。

(ん?何だい、何があるってんだい、ピュチェリ?)

と、辺りを見回しながら様子を探る。

敵意や殺気を向けられれば、クロエの方が先に気づくはずである。

と、なるとますます何だか分からないクロエ。

焦れるピュチェリが、クロエの肩から飛び降り、向こう側に鎮座する岩の上に登った。

その裏側を見下ろすピュチェリ。

訝しがりながらもそれを追うクロエ。

ピュチェリからは、緊張は感じられない。

「キキ」

と、小さく鳴くピュチェリ。

「どうしたってんだい?」

と、覗き込むクロエ。

(……!?)

衝撃が思考を奪う。

「ん、何だこれはっ!?」

と、クロエさえも驚ろかすものが、そこにはあった。

腹を裂かれ内臓を食い破られた鹿の亡骸だが、すでに幾日か経っていると見える乾き切っていた。

そして、その鹿の腹の傍に頭を置いて倒れている。

「これは男かい?それとも人じゃ無いのかい?」

と、クロエにそう言わしめる異形さがあった。

何れにせよ、クロエはこんな光景を見たことがない。

確かに動物の血を喰らう吸血鬼もいない事は無かった。

しかし、肉を食うならまだしも内臓をとは、そして何よりも、

その風貌が問題だった。

「こんなにドス黒く青ざめているなんて、やっぱり死んでいるんだよね?それにこの傷痕は?」

と、その一つの死体に、不思議な点が山ほどあった。

好奇心が抑えられなくなって来たクロエ。

ピュチェリの様子も気付かず、それを物色し出したのだった。

「この切り裂かれた痕は、剣じゃないね。斧か鉈なのか……」

と、衣服が覆っていない部分だけでも、二十を超える傷跡。

不思議とその深かったであろう傷の全てに、縫い合わせた様な跡が無い。

つまり、自然治癒によるモノだろうと言えた。

「こんな傷が治るなんて、やはり吸血鬼なのかいこいつは?」

と、一通り見終えた所で、ピュチェリに話し掛ける様なクロエ。

「ん?何だいピュチェリ、まだ何かあるのかい?」

と、ピュチェリの視線の先に目をやるクロエ。

「誰だい!?」

と、口を突いて出たクロエのセリフ。

そこに誰か居た事に、自分が気づかなかったのを不思議に思うクロエ。

しかし、それも仕方がない。

その木の陰で寝ていたのだから、殺気どころか、気も発していなかったのである。

「ひぃやぁ」

と、クロエの声に怯えて顔を覗かす木陰の男。

「何だいアンタ、そんな所で?」

と、呆れ顔のまま睨むクロエだった。



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