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悪役令嬢が二周目の残念ヒロインに転生しました  作者: 如月いさみ


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デスサイス病収束

 私とアスランは王都に入るとリアンナと別れて、番兵の案内を受けて病院へと向かった。リアンナ・ウェルズが主導して作ったロココの薬剤で何とか小康状態を保っているけれど、恐らくこのままだったら死人が多く出たかもしれない。


 私は呪の陣が浮かぶ人々の元を回って順々に聖女の力で呪の陣を消して回った。一人、二人、三人と……ウィルソン子爵領地や他の領地のように10人くらいまでなら十分魔力が持っていた。


 だけど。

 最初の病院では20名ほどの人々が既に発症していて用意されていたロココの薬剤を自力で飲んでいる状態で周囲を警備兵が立ち入り禁止をしている状態だった。


 彼らの呪病を治すとその次の病院へと向かった。

 空を明るく染めていた太陽はゆっくりと西に傾き世界を赤く染め始めていた。


 通りを幾人かの騎士が駆け抜けていた。恐らくオリバー・ノースとマリー・チェストを探しているのだろう。

 その中には攻略対象だったキリアの姿もあった。


 私は二番目の病院につくとアスランに呼び止められた。

「少し休もう。魔力は無限にはない。回復も必要だからな」


 私は病院の前に立って頷いた。

 アスランの腕の中で少し凭れて目を閉じた。


 ホッとする。

 同時に私の中の活力が湧き上がってくる。


 ずっと。

 ずっと、助けてくれていた。


 側にいて。

 私はアスランの顔を見つめて胸の中の何かがストンと嵌るのが分かった。


 きっと今頑張れるのはアスランがいるからだわ。


「行きましょ、アスラン」

 そして、二番目の病院で手当てを行い、順に回った。


 最後の病院で最後の人を助けたとき、通りから声が響いた。


 ……オリバー・ノースとマリー・チェストを捕まえたぞ!! ……

「呪の陣の石を持っている!!」


 広がっていたデスサイス病が漸く収束の時を迎えたのだ。

 私はホッとするとその場に倒れた。


 アスランの優しい腕が私を支えてくれた。

「よく頑張ったな、マルガリータ……るり……」


 私は夢うつつに微笑むと意識を手放した。

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