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○エマさんに関する情報?

「秘密のお姉ちゃんファイル….?」

ティオが10cm幅ドッチファイルに書かれた文字を読む。

「それがあと3冊あるから、大好きお姉ちゃんファイル、今度こそ見つけるお姉ちゃんファイル、あとなんだっけ?エリさん?」

サヤカが笑顔で黒歴史をブッ刺している。

シンは席を外しているというかエリが追い出した、その感覚はまだティオにはわからない。

たぶんファイリングはサヤカがしたんだろう、笑みの中に若干の怒りを感じる。

「やめて、読まないで…..」

机に突っ伏し、恥ずかしさで煙をあげているエリを尻目に、ティオはページを捲る。

無造作に綴じられただけの情報源、ここから情報を取捨選択し、取り込んで分析する。

リアルから仮想データとして現実の文字情報をデータに叩き込む、これが結局一番面倒。

「全部入れますか」

と、ティオがつぶやく、エリがガバッと起き上がる

「ぜ、、、全部?」

まだ恥ずかしさで顔が真っ赤だった、怒りではないが口がわなわなしている。

ティオはファイルを閉じて、エリを見て言う。

「情報が無造作かつ大量なので一回全部取り込んで、それから整理します。情報の取捨選択を今する方が大変なので」

「あ、あのー、全部はやめた方がいいかなぁって」

割って入ったのはサヤカだった。

なんでしょうか?ティオが応じる。なぜかサヤカも顔が赤くなっている。

「まだ、あと5冊はあるの、しかもそのファイルもそうだけど、半分くらい」

「何冊でも構いませんよ、データ容量には自信があります!」

エリはもう半泣きだ。ほんとにシンが居なくてよかっただろう。しどろもどろでサヤカが続ける。

「そのー、半分くらいポエムなの、エリさんの….、だから、全部はその、、やめてあげて欲しぃなぁて、、、」

「大丈夫ですよ、全部入れてから、不要ってラベル貼りますから!」

あ、はぁ、ただ息が漏れるサヤカ。

「じゃあ全部持ってきてください!「膳は急げ」ってやつですよね」

ドッチファイルもドンと置き、一枚一枚丁寧にめくり、自分の目から取り込んでいく。

「ティオちゃん、そのイントネーションならお膳だよ、多分ほんとは善だと思うよ。」

サヤカの小さな呟きは、ティオのページを捲る音にかき消される。

エリといえば、もう完全に撃沈している。

「もう終わりました、残り5冊もいただけますか!?」

わんこそばのおかわりじゃないんだからさ。と思う元から人間2人を尻目に鼻息荒くおかわりを所望する可愛い非地雷系隠キャ女子大生風少女がそこにいた。


----


「でさ、全部見たんやろその、秘密のお姉ちゃんファイル。」

はぁ、と歯切れの悪い返事をしてティオはシンの方に向く。そこにはイケオジスタイルのシンがティオには目も向けずに詰所でモニターを眺めている。こういう時はだいたい機嫌が悪い。

(なんなんですか機嫌って本当に)

「何があってん、ええもんあったんか?」

良いものと言われても、正直なところ、普通なら捜査対象から落とす容疑者も含め根気よく探したという「だけ」の執念だった。

「まぁそんなもんやろ、で、何で、今まで、その執念に引っかからずに、いまこの姉ちゃんはこの写真に映っとるんやろな」

苛立ちと威圧、こちらの情報の入力に齟齬が出るからあまり好きではない。

その写真に映っているエマは黒のジャケットスーツにネクタイのスタイル。

胸ポケットには画像が悪く見えないが何かがしつらえてある。


「黒鳥会」

シンは確かにそう言った、ただそこはつい最近までエリが潜入捜査をしていたところだ。


「執念ねぇ」

ティオは黙って聞いている

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