○サヤカさん
エリと会う数刻前、二人はサヤカに会っていた。
赤毛の少女、という表現が似合うが、救助隊員のユニフォームを身に纏った少女に話を聞く。
「あ、シンさん!そっちに格好は久しぶりですね!」
「そうね、タイミングなだけやけねんどな、はいお菓子」
ドチャャクソ可愛いのに、大阪のおばちゃんみたいに飴ちゃんをあげるんですね、とティオは黙ってみている。サヤカがティオに気づき声をかける。
「あの、私はサヤカって言います!」
あ、はい、私はティオです、と少し気圧されたようにティオは答える。
「シンさん、ご要件はなんですか?」
私、エマさんのことそんなに知らないし….と少ししょげている。
「いいのよ、ナツメと最近会ったって聞いたから。」
ティオは仰天する
「シンさん!どこでそんな話を!」
「うるさいわ、飴でも舐めとれ。ほんまにもう」
「え、だってナツメさんはごほっ、ゴホッ。」
口に無理やり飴を投げ入れられ悶絶するティオ
それを尻目に、サヤカに先を促すシン。
「ナツメさんから連絡があったんです」
「嬉しくなって会いに行ったんですが….」
シンは相槌を打ち、話を続けさせる。
「カフェ・ド・クオモに行ったんですぅ!」
キャーーー!女子2人が、おふざけの悲鳴をあげる。
「そう、そこまで戻ってきたのね、良かったわぁ。だってほんとはエマと行くつもりで1年前に取ってたんだもんね、彼女。」
「そうなんです、私で良いのかって、なっちゃって、でも、サヤカちゃんがいいって言ってくださって、」
グズグズと泣くサヤカをワイが優しく抱く
(変身前の格好でこれやったら犯罪じゃないかと推測されますね、シンさん)
飴がまだ溶けず口の中に残るティオは黙って見てるだけだった。
「それで、どうだったの?」
「すっっごく美味しかったです、クレームブリュレがもう!ビュッフェも数えきれないくらいあって!コーヒー普段飲まないんですけど、もうなんだかとってもおいしくってぇ!」
「そう、ついに大人の階段登ったのね」
きゃーー、ワイワイ
ここに私がいる意味ってなんだろう、ティオは少し悩んだ。