○冒頭
○冒頭
シンとティオの2人の女性が廊下を歩く、2人は監察官ということでエマ失踪事件を洗っている。
シンは捜査組織の監察官をしている、本来はおじさんだが、ある実験で不備により、(あり程度コントロールできるらしいが)不定期に女性のような見た目になる。銀色の髪を後手に纏めて、若干のつり目に黒い瞳、支給品の詰襟がまるで特注品のようにハマっている。そのシンに続いて歩く女性がティオ、彼女は組織が開発した書類分析プログラムに人体を持たせたら面白いんじゃないかという、伊達と酔狂で作られた新型のアンドロイド、監察官という官職の癖にグレーのパーカーにミニスカートと、おさげに黒縁メガネ、性癖特盛、可愛い非地雷系隠キャ大学生の見た目をしている。
「….次は….エリさんですね、今日も機嫌悪いんでしょうかね。」
彼女の顔がこわばる。
エリ、エマの双子の妹であり、我々監察官とは別でエマ失踪を追い続けている、彼女が所属する麻薬対策部署は裏も表も上も下も情報が入ってくる。彼女はあえてそこを志願し、危険な任務をこなしている。
「言うてな、最近はサヤカちゃんと組んでずいぶん丸なった言うしな」
平手打ちバチーーーン一発でで済むんちゃうかなぁ、とシンは大袈裟に素振りしながらいう。サヤカとは、ここ最近でエリとコンビを組む少女だと、ティオは記録の中で確認する。
ティオからすれば今のシンは美から手足が生えているドチャクソ可愛美少女だが、なんとコイツは男性である。そう、アレがついているのだ。
監察官の詰襟を来ているがそれすら特注品のように着こなし、すれ違う他の職員や捜査員の愛想を振り撒いている。しかし全てに嫌味がない。
「シンさん、キャバクラとか行っちゃだけですよ。」
「んー?そら社会経験で行くやろ、客としてな。」
これは絶対もう女王蜂になってるわ、一回。ティオは確信する。
「ところでシンさん、べらべら喋ってますが、エリさんのこと嫌いですか?」
「ギクーーーーゥゥ」
あ、それ自分の口で言うんですね、といってもティオが続ける。
「いつもより1.3倍他の人に愛想振ってますよね、身体の振り向きが5度きつく、手の振りが1往復半多いですから、歯を見せる笑みも0,025秒長いです。」
「あー、賢いなあ、君は!もう」
ティオは言葉の意味とイントネーションからシン意図を読み顔を赤らめる、そう人形になってわかることが増えて嬉しい。照れ隠しで続ける。
「で、今日はそっち方面で攻めてみるんですね、相手の見てくれなんて一番気にしないひとですよね」
「せや、だから大変なんよ」
肩すくめる、その割には歩みの歩幅は変わらない、そこに躊躇はない。
「どちらにせよ、おっしゃる通り利き手の右から一発は間違いないですよね。」
ティオも素振りをしてみる、実体化してから日が浅いから実戦など経験がない。
「受けたら芯に響くちゅうか痛いねんほんま、せやから、こんな可愛い子殴るってるねんって社会的に○したろって」
絵に描いたような悪い顔をするが、やっぱりドチャクソ可愛い。