3月のバカ
3月の海に入るのはバカです!
水が冷たすぎて足が痛いから
悔しくて数秒耐えてはみたが
水を蹴り上げてすぐ撤退する
砂浜にHAPPY BIRTHDAYと書いてみて
跡が全然残らないことに気がつく
それならと湿った砂に向かうと
ズボズボと足が沈んだ
トライアンドエラーの繰り返し
スニーカーは砂まみれだけれど
試行錯誤も悪くないね
隣に誰かはいないけど
私の心はおしゃべりなので寂しくなかった
潮風は冷たくて
だんだんと早足になる
3月の海に入るのはバカです!
ひとりで海に来たのは
祈るため
生きるため
おめでとうを言うため
誰かを救ってみたかったあの頃の子どもは
今も体育座りをして
誠実な人であれたらと
コンビニで買ったケーキを食べている
海水と砂まみれの足を
タオルで拭いて
靴下を履いたらあったかい
三月の海の冷たさを知った私は
まだこの世界に期待している
どこかにいるあなたの手を
ぎゅっと繋ぐまで
泣いたり笑ったりして生きていくから
あの駅で待ってて!