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2024年1月27日 詩+どく
『腕に傷を』
痛い 痛い
知っている赤がにじむ
いたい いたい
線が走る
涙がこぼれる
痛い 痛い
煮えくり返った感情が鎮まる
いたい いたい
否定を否定することも否定する何か
出来ない愚かな自分への戒め
右手に刃物を
左腕に傷を
それすら出来ない臆病者
左手に刃物を
右腕に傷を
そこまでしか妄想出来ない
痛い 痛い
にじんだ赤に唇を寄せ
いたい いたい
なめとってしまえば消えるだろう
またにじむ赤も消してしまえる
右手に刃物を
左腕に傷を
跡が残らないように
左手に刃物を
右腕に傷を
誰にも気付かれないように
痛い 痛い
泣くのは瞳じゃなくて
いたい いたい
泣きわめいているのは心だ
誰にも気付かれない心だ
痛い 痛い
痛みなんてなくなった
いたい いたい
慣れてしまえばそんなもの
でも痛いというのは心
右手に刃物を
左腕に傷を
そんなことをしなくても
左手に刃物を
右腕に傷を
ずっと心は泣いている
抑えきれないから腕に傷を