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2024年1月7日 詩
『忘れたころに』
届いた手紙に書いてあった言葉はあっさり私を刺して
書かれた文字を消したくて
便箋をぐちゃぐちゃに握りしめようとする
便箋をバラバラに破こうとする
理性は確かに行動を決めるけれど
心は追いつかなくて
静かに封筒に便箋をしまう
どうして
なんで
疑問なんて当たり前のようで不思議ではないもので
便箋に書かれた言葉は残酷なものではないのに
優しく幸せな言葉なのに
私の心にはナイフでえぐるかのようなもので
その言葉をナイフにしたのは私なのに
その文字を凶器に変えたのは私なのに
逃げたくても逃げられない場所にいるのは私なのに
傷ついた心を無理やり隠して
それを望むふりをして
「ねぇ幸せですか」
届かない言葉を未だに抱えているのは
戒めなんかじゃないだろうに
私の免罪符は諸刃の剣でしかない
そうわかっているから隠れているのに
忘れたい記憶を忘れさせて
罪人は贖うことも許されませんか