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ゆめうつつをつづる  作者: 稲波 緑風
2025年10月
734/773

2025年10月22日 毒+詩

 『我がままなる死へ(いた)るに』


 終わりよどうぞ近付いてきておくれ

 消えてしまう身は当たり前のように(ことわり)に従い

 炎の中に投じられて朽ちてしまえ


 悲しみに沈むのは去っていく者ではなく

 残り生きる者だけである

 感情は風の中に散り散りになっていく


 記憶の欠片(かけら)は時と共に粉々になり

 悠久のかなたに溶けていけ

 一切の粒も残らなければいいのに


 死神よその鎌を振り下ろして

 (おの)が役割を果たすといい

 (さだ)められた期限の前であったとしても


 何一つ存在の確定が出来る物を

 残さず去り行くことは難しいだろうか

 捨て去って消し去ってそれでも残るか


 ああ名も骨も記録も

 在った結果を示してしまう

 いらないのに

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