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2025年7月19日 どく(毒)
私が犯した罪は、法律では裁かれることはない。
殺人でもないし、強盗でもない。窃盗でもなければ、傷害でもない。
法律の中には存在しない。
だが、確かに私は相手に対して罪を犯した。
相手がどう思っているのかはわからない。
縁を切ってしまって、風の便りすらないからだ。
だから、私は罪を抱えたままでいる。罪人として生きている。
許しはない。許されはしない。
罪人たる私は、”普通”にもなれない。得たくとも願いは諦める。進みたくとも留まる。
それらは罰ですらない。
この作品を、私を知る人は誰も読んでいないだろう。
そう思える理由は、簡単なことだ。
誰一人として、私を咎めることをしてこない。
しかし、どこで被害者に誰がつながっているか、わからない。
そう、世界は案外狭い。
故に私は謝罪を書かない。
生きていることすら、私の罪やもしれないけれども。