2025年6月15日 詩
『望みを叶えることは可能か不可能か 縁を切ることは己の身も切ることになるのだろうか』
「忘れてください なにもかも
私の生まれから死まで
何にも記されないままを望む心と
記されつくすことを望む心とが
争いを続けていますが
それは私の心の中のこと
あなたは忘れてください なにもかも」
つづられた言葉に対して
返す言葉を持てないのは
返す心が一つもないからだろうか
それともつづられた言葉が
身体を通り抜けてしまって
頭の中に何も残っていないからだろうか
私があなたのことを どう思うか
私はあなたほど わかっていない
私にあなたが 教えてくれたこと
私のあなたに 教えてあげたこと
私とあなた 違う人間であること
私やあなた 同じ”人間”であること
私へあなたでは 伝えられないと
私をあなたと つないだものとも
私もあなたも 離れてしまった
「捨ててください なにもかも
私の生まれから死まで
この世に存在することを是とする心と
この世へ存在することを否とする心とが
戦いを続けていますが
それは私の心の中のこと
あなたは捨ててください なにもかも」
二人の思い出を捨ててしまえば
あなたを忘れることはできるだろう
それはしかし 私の過去も捨てることだ
あなたは言う
「私に価値はない」と
だが あなたには私の過去を背負う
義務がある
あなたを忘れてしまうことを
あなたを捨ててしまうことを
あなたがどれほど望もうとも
私の過去の思いまでをも
忘れて 捨てて と
願うことはないのだろう?
一片だけ あなたのことは残るだろう
この世のどこかに残るだろう
なぜなら 私が私であることの証明に
あなたへの思いがあるからだ