2025年5月20日 詩
『自分の愚かさを自分自身に突きつける 希望と絶望は同じものになる 真相に気付ける人はいない』
忘れられないからすがりたくなる人がいる
妄想の中だけで優しくされれば満足か と
問われても 否 としか答えられないけれど
忘れたいと思う心と 記憶にしがみつく心とが
やじろべいのように行ったり来たりする
無自覚の内に淋しい時に思い出して夢を抱く
現実に戻ってきて後悔するのがいつものこと
自分の馬鹿さ加減にいい加減飽き飽きする
飽きて 落ち込んで 悲しんで 苦しんで 逃げる
記憶の中にいるだけの人 現実の本人には何もしないから
と許しを求めて言い訳をする
恋か と問われれば 否 と答える
怒りか と問われても 否 と答える
愛か と問われれば 否 と答える
憎しみか と問われても 否 と答える
それほどにその思いに名前はつけられなくなっている
ひたすら思い出すものを消していっているのに
残ってしまうものがあって どうしても思い出す
自分の人生に欠かせない人か と問われたら 答えが出せない
存在することに 必要ではあるかもしれない
自分を確立することに 必要ではあるかもしれない
そのどちらも 必要ではないかもしれない
そんな 人
忘れたいのに忘れられなくて 甘えてすがりつきたい人
現実ではないどこかでしか 会うことができない人
期待して 夢を見て 希望を抱いて
現実を見る
自分の置かれた状況を見る
さよなら を告げる心
またいつか現実ではないどこかで 会ってください
しょうこりもなく繰り返して 忘れたい人を思い出すでしょうから
忘れてしまえば 楽になることが一つ増える
そう知っているのにまだ忘れられない
次は期待しません 夢を見ません 希望など知りません
そんな声を忘れてしまうことを知っている
喉元過ぎれば熱さを忘れる
そのことわざのように すがりついた苦しさも 忘れる
だから またね
自分の心の思い出の引き出しに しまい込むのだ




