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ゆめうつつをつづる  作者: 稲波 緑風
2025年5月
577/739

2025年5月18日 詩

 『言葉を残したあなたはもういない 私の言葉はあなたに届かない あなたは後悔もしない』


 残された言葉に心を刺されている

 未来を見ていたわけではないのだと

 わかっているのだけれども

 過去の私では理解できなかったことを

 現在の私では理解できるようになっただけで


 残された言葉に後悔を(いだ)いている

 過去ではどうしようも出来なかったのだと

 わかっているのだけれども

 現在の私が受け入れられていることを

 未来の私が受け入れられるかわからなくなっているだけで


 残された言葉に心がきしんでいる

 現在だからこそ読み込もうとしているのだと

 わかっているのだけれども

 未来の私も捨て去るだろうことを

 過去の私も捨て去っただけで


 残された言葉がふらふら

 過去の私に受け取られないままあって

 残された言葉がゆらゆら

 現在の私へ牙を突き立てるようにあって

 残された言葉がひらひら

 未来の私は忘れ去るのだろう


 残された言葉を十全(じゅうぜん)に受け取ることが

 過去現在未来の私には出来ないだろう

 残された言葉は心の欠けた隙間(すきま)に入り込むだけだろう

 だけれども欠けた隙間がふさがるわけではない

 残された言葉は 刃で 想いで 熱だ

 あなたの生きた証と知っていながら

 生きた証を捨て去ろうとする私には

 残された言葉は (なぐさ)めにも 絆創膏にも 包帯にもならない


 残された言葉に踊らされていく

 未来を知っていたわけではないと

 わかっているのだけれども

 過去の私は(とら)われて (くく)られていて

 現在の私は変わらずに囚われて括られているだけで


 残された言葉が心をえぐっている

 現在 そばにいるわけではないと

 わかっているのだけれども

 過去の私は当り前の価値を知らなくて

 未来の私は当り前の価値を壊そうとしているだけで


 残された言葉を削除している

 過去に届かなかったものではないと

 わかっているのだけれども

 現在の私には 牙にも 刃にも感じられて

 未来の私にはカケラも残さないようにしているだけで


 残された言葉はあなたのもの

 過去に私に届いたもの

 残された言葉はあなたからのもの

 現在の私にはもう届かないもの(手紙)

 残された言葉はあなたというもの

 未来の私が私を捨て去るために捨て去るもの


 残された言葉が私以外の誰かに届くことも

 私以外の誰かの目につくことも

 ない

 残された言葉の発信者が

 望んでいない未来に

 私が進んでしまっているからだ

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