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2025年5月3日 詩
『愛をうたう』
風にたなびく白の布
木々にかかる青の雫
花に落ち行く赤の糸
土にかぶさる緑の音
心にふさがる黒の髪
光に目をつぶされて
闇に耳をふさがれて
心に浮かぶ感情とも
身体に現れる症状も
離れられない事実は
自分自身である事と
離れられない真実だ
闇に口をふさがれて
光に鼻をつぶされて
愛を唄う私とあなた
互いに届かない歌を
愛を唄うあなたと私
すれ違うだけの歌を
愛を歌うことをする
時間の檻から出ない
死という自由はない
私は恋をうたわない
私は恋をうたえない
私は愛をうたわない
私は愛をうたえない
そんな歌を唄うのは
凪に浮かぶ星のふね
嵐に行き交う月の音
雨に流れる太陽の橋
雲にたゆたう思い出
風がうたう愛の歌を
歌うたいが歌ってる




