2025年3月22日 語
『考える』
私は目が覚めた。ベッドの上にいる。青のカーテンの隙間から、日光が差し込んでいる。
身体を起こし、部屋を見渡す。私の左側に白い机と白い椅子。机の上には、緑の革表紙の本が2冊。もう一冊は開かれたまま。
正面には、エッシャーの『滝』が飾られている。いや、よく見ると滝の水が流れている。
右側の枕元には、2本の百合。白い花弁がふくらんでいて、もうすぐ咲くだろう。足元のほうには、扉。
私はベッドから降り、シャワーを浴びようと、扉を引く。寝室から出て左手がトイレ、目の前が浴室、右手の廊下先にリビングダイニング。
私は髪の毛を洗う。シャンプーとリンス、コンディショナーを使って、ゆっくりと入浴時間を楽しむ。余計なのは、左足首についているバンドだけだ。
入浴を楽しんだ後(生理現象についてはいちいち触れないでおこう)、私はリビングダイニングに向かう。まっさらなバスタオルで、髪の水気をぬぐいながら、ゆっくりと。
リビングに置かれた2人掛けのテーブルの上に、トーストが2枚と、スクランブルエッグ、2本のウインナー、オレンジジュースのピッチャーと空のグラス。小食の私にはちょうど良い量だ。
48型のテレビがつき、ドラマが流れる。恋愛ドラマだ、面白くもない。画面が変わるが、変わり映えしないドラマばかりだ。
とりあえず、食事に集中するか・・・・・・。
ごちそうさまでした。完食した私は、寝室へと戻る。
白い机にタブレットが置いてある。ベッドからだと、本に隠れて見えなかった。
タブレットを起動させ、映る文字が聞いてくる質問に答えていく。いつもと変わらない回答なのだが、これで何がわかるのだろうか?
綺麗に整えられたベッドへ、開いていた本を持ってうつ伏せになる。私の読書スタイルは、いつもこの状態だ。
本の世界に集中して、私は自分のことさえあいまいになる。
読み終わると、ふわりと百合の香りが漂ってきた。クロユリが咲き誇っている。
読み終わった赤の革表紙の本を、タブレットの下に置く。
白のカーテンを開け、外を眺める。海だ。波の音は聞こえてはこないが、水平線まできれいに見える。今日は快晴だ。雨がよかったな、とも思ったが、昨日雨だったことを思い出す。
特にすることもないので、緑の革表紙の本を開く。
もう一度読書の時間と洒落こもう。
本の世界から戻ってきた私は、空腹と睡魔に襲われる。
リビングをのぞくと、テーブルには気分にピッタリなサイコロステーキと赤ワイン、山盛りのマッシュポテトと山盛りのスイートコーン。美味しくいただく。
空腹が満たされれば、あとは睡魔に負けるだけだ。(歯磨きはしっかりとしている)
寝室のベッドにもぐりこんで、2秒。私は夢の世界の住人だった。




