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2023年12月10日 詩
『白い花』
荒れた地に伸びる濃紅の茎
細い茎につく常磐色の葉
小さく咲く白い花
夏の暑さに焼かれて
水を求めても
多すぎてはいけない
花が散った後に
褐色の実がなれば
すべての花が散らずとも
収穫の時期
根元から切り落とし
茎も葉も実も
乾燥させる
実だけをもぎ取り
中身の重さで選別する
実の中身は白く
挽いて粉にする
秋の終わりに味わう味覚
年越し前に一度打つ
挽きたて打ちたて茹でたて
三たての美味しさをしる
こだわる人の数は多けれど
白い花の揺れる時期
美しさに埋もれるように
喜びで見る人は少ない
白い花の小ささが生む
実の重みは
腹を満たす重み