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2023年12月9日 詩
『空街』
昼間しかない街へ
風よ運んでおくれ
私らが紡ぎだした言葉を
一音一音バラバラに
単語ごとそれぞれに
文章そのまままるごと
その背にのせて
運んでおくれ
地上では咲かない花が咲く街で
花をための栄養に
私らが紡ぎだした言葉を
運び上げて蒔いておくれ
花びらに包まれるように
葉っぱに刻まれるように
茎に残るように
運び上げて蒔いておくれ
私らは行けないけれど
古からの言葉が
その街には保管されている
誰かの元に時折
消えない花びらが落ちてきて
隠されていた言葉の一片を
月明かりにさらすのだと聞く