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ゆめうつつをつづる  作者: 稲波 緑風
2025年2月
475/736

2025年2月5日 詩

 『緑の電話から』


 もしもし

 この声が未来の私に届いていますか

 寂れた町の片隅に

 置かれたままの公衆電話

 お金もテレフォンカードも入れないまま

 受話器だけ取って


 もしもし

 どこかに通じるはずもないけれど

 暮れた日々の一日に

 隠されただけの非日常を

 ささやかな行為一つであらわにしてみよう

 気まぐれに動いて


 たとえば

 過去からの便りを捨ててしまう今

 未来につなごうと思わない

 過去を変えていくための

 今という行為を容認するための決断

 忘れないものは何


 たとえば

 今から描く未来への希望と絶望

 続いていく時間にのせる

 他人に任せられない

 私自身の心情を残すための行為

 消されてもいいから


 もしもし

 山から海へと吹き降りる風に

 この声がのるのならば

 距離を超えるだけでなく

 未来にも届いてくれやしないかと

 期待したくて


 もしもし

 申します 申しますと電話の交換手へ

 伝えるための言葉はただ

 相手の存在を聞く4文字へ

 消えていってしまう言葉だと知りながら

 言い続けよう


 もしもし

 この声は未来の私に届いていますか

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