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ゆめうつつをつづる  作者: 稲波 緑風
2023年10月
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2023年10月23日

 茹でたての栗は非常に熱いので、素手で持つには注意が必要です。しかし、冷めていくと鬼皮も渋皮も剥きにくくなっていきます。

 ほどほどの熱さまで待って、手で剥いて、剥けたら口に放り込むと、程よい甘みが口の中に広がって、秋の味覚が存分に楽しめるのです。

 ただし、これは全ての栗に当てはまる工程ではありません。何故ならば、鬼皮に小さな穴が空いていると虫が中にいるからですし、たとえ穴が空いていなくとも虫は潜んでいるのです。また、虫が居なくとも卵が詰まっていることもあります。さらに、虫も卵もいないのに、渋い味の栗があるのです。

 ほどほどの熱さがただざるの上に広げられているだけで保たれるでしょうか?それは物理的法則を無視した何かですよね。と、なると、茹でたての栗の熱さも、ひとつふたつと食べはじめは熱さにゆっくりとですが、みっつよっつとなると剥きやすさが勢いをつけ、次々に栗の身が表れてきます。十や十一を剥き出すと冷めていて手だけでは容易に剥けません。歯や包丁を使いだします。

 苦労して剥いた栗が全て食べられるなら、美味しい美味しいと言って終わるだけです。虫や卵がいたならよけるだけです。真っ黒な色をした栗の身は明らかに不味いのでやはりよけるだけです。

 ざるにいっぱいだった栗を剥いて、食べられるものだけをお皿にのせて、半分強残っていたら良いでしょう。売り物として育てられた栗ではなく、自然に出来たものをいただいている場合は特に。

 ひとつひとつ秋の味覚である栗の味が口の中に広がっていくのは、幸せです。甘すぎず濃すぎず飽きのこない味わいです。

 しかし、悲しいかな、自然に出来たものです。甘味を求めて収穫されたものではありません。なので、味わっているなかに刺客がいるのです。美味しそうな色をして、虫も居なかったのに、吐き出さずにはいられない渋い味の栗の身があるのです。

 目の前に美味しいものがあるなら、美味しいものに手を伸ばしてしまいませんか?なのに、そこに思っていた味とは真逆の味が混じっていたら悲しくなりませんか?

 そう、美味しそうに見えている栗の身の山ですが、迂闊に手を伸ばしてしまうと渋い味のものに当たってしまったら悲しくなります。

 長々と書きましたが、つまり今日は必死に剥いた栗の半数が虫がいたか、美味しくなかったものばかりで、最後の一粒が美味しいものであることを祈って食べたというだけのことなのです。

 最後のほうは冷めてしまって、指にまめが出来そうなほど皮が固かったのです。

 手が痛くなる前に、電子レンジでちょっとずつ温めなおして剥くのが、簡単だったかもしれません。

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