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2024年10月14日 詩
『秋』
秋の暑さだ
日差しも風も夏に似ている
ただ空気が違う
ただにおいが違う
夏のジメジメとした風はない
夏のジリジリとした日差しはない
春の若草のにおいはない
冬の寒さはない
秋だ
香りは甘く広がっている
焼き芋の売り子の声が届く
家路を急ぐ道はすでに街灯に照らされている
朝の日差しは目覚めの時に間に合わない
たき火の炎が心を揺らすのは
穏やかな天気のせいだけではない
秋の夢だ
はらはらと舞い落ちる紅葉の後
山になった落ち葉の焼き栗
裸樹にのぼる子ども
頬張る芋はどこから来たやら