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2024年8月19日 詩
『切り裂くは過去にて現在に非ず』
過去を払うとは
未練を無くすだけではないと思う
思い出もまた
過去のよすがなのだから
午前三時半の雷の大音量が
眠っていた身体を揺さぶって起こす
ああ 雷か 雨もひどいな
なんて思いながら
二度寝をするのは
休みの日だから
雷が意識の何かを揺さぶって
逃げていた判断を決断へといざなう
作ったものにはさみを入れる
解かれていく糸に何も感じない
一枚の布になった巾着は
切られて小さな布になった
夜の初めの雷は雨風と共にやってきた
家の窓を閉め切って
濡れないようにと対応する
おびえる幼子を
抱えて背をかるくたたく
大丈夫だよ
声には出さないけれども
寝かしつける時と同じように
片付けようとして
ある世界にひたる
抜け出せないまま
一日が終わる
幕が下りた時
残っているのは焦り
明日へ残してしまった
今日やろうとしたこと




