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ゆめうつつをつづる  作者: 稲波 緑風
2024年6月
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2024年6月12日 どく

 私は自分の悪い癖をどうにかしたいと思うことがある。

 どうにもならないこともあるが、日常の中で落ち着いてきたのが、独り言である。

 誰かと会話しているくらいの声量で、独り言を言う。そんな悪癖は、今までいろいろと問題を起こしてきた。

 だからこそ治そうと思ったし、気を付けようと思ったし、癖の理由も知りたかった。

 私は基本、他人に興味はない。そう言い切れるほどには、相手の好みや嫌いなもの、言いたいこと、思っていることなどを、覚えたり考えたり出来ない。

 だが、なぜか癖は人の癖を真似することがある。独り言の悪癖も誰かの真似だったらいいなと、罪のなすりつけが出来るのになと思ったこともある。

 しかし、友人・知人の中には、そんな癖を持つ人はいなくて、私は私独自の悪癖かと思っていた。

 実家に戻ってきてからである。まして祖父が亡くなった後、祖母が誰に対して話しているのかわからないが、話しをしているのである。

 祖父が生きていたころは、まだ、祖父に話しをしていたのかもしれない。

 聞いている側が相槌を打たなくとも、話しは続くし、話しの内容はあちこちに飛ぶし、話題にしていることから1・2歩遅れて話すこともある。

 この癖かな? 私に幼いころに植え付けられていたのだろう、悪癖の元。

 とどめは、母も同じく、誰かと会話しているくらいの声量で独り言を言ったのだ。

 私の悪癖は、ひなにすりこまれた親の顔のごとくに、幼きころに出来上がっていたのだ。

 今更、私が過去に犯した罪を、家族へとなすりつけるほど、幼くはない。が、悪癖であることを自覚しないまま、生活する彼女らに、少し哀れみを覚えた。

 己を振り返る。そんなことを受け入れられる度量のない年齢だろう。年齢を言い訳に受け付けない人間だろう。

 私は、若々しく老いた人間を知っている。ひたすら生きることを楽しんだであろう人間を知っている。

 ーーーあの人のようには、私は生きれない。だが家族は優秀だからできるだろう。

 幼い時から抱いてきた羨望・憧憬・嫉妬・絶望・憎悪・願望。家族に向けた歪な愛情。それらが、静かに崩されようとしているのだろうか?

 ーーー家族は生きることを楽しんで死ぬことはないだろう。

 私は自分が馬鹿で無知で短気で短慮でブスでみっともない人間だと思っている。

 家族はそんなことはない人間だろうと思ってきた。

 なのに、私のしでかした罪の元には、家族からもらった悪癖だったとは・・・・・・。

 やり直すことは出来ないが、しでかさないことは出来る。

 自分を見つめ直すことを覚えた過去の自分に感謝したいくらいだ。

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