2024年5月10日 偽
日差しの下では、長袖を着て活動すると汗をかく気温の一日だった。
日陰や家の中では、半そででいると少し肌寒い。だから、薄い長そでを羽織って、家の中の小さな日向で本を読む。
当たらない日差しと冷たい風の入らない部屋で、まったりと過ごす。程よい温度の中で、時計の針の音と家の前を通り過ぎる自動車の音が、私をまどろみの世界へいざなう。
誘いにのるものかと抗うが、いつの間にか落ちていたまぶたで出来る暗闇にうたた寝をしたことを気付かされる。
進まないページを固定するために、広げすぎた本が、栞を挟んでも綺麗に閉じない。
仕方がないから、このままうとうとしながらも読み進めようか、それとも、一度閉じてしっかりと寝てしまおうか、と迷う。
文庫本の上に置く重しを探す。どれならちょうどいいだろう?
綺麗に閉じるまで押さえつけるわけではないから、スマホでいいかと載せてみる。
表紙も背表紙もめくりあがることはなさそうだ。それなら、このまま読み進めよう。寝落ちて本が曲がっても、どうにかなりそうだから。
静かに時間が流れる。
うとうととしながら、少しずつページをめくる。
物語の進行は駆け足だけれども、私の目が追いかけるのは、亀の歩みと同じくらい遅い。
登場人物たちは大慌てでも、私はまどろみと楽しんでいる。
読み終わるまではもう少し・・・・・・。




