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「飽きるかもしれない」恐怖と戦え。

作者: 奈良ひさぎ

 奈良ひさぎはとにかく飽きっぽい人間だ、という自覚があります。頭のどこかに「できないことにあまり時間をかけているとよくない」という思考があるのか、ゲームでも何でもつまずくとどれだけいいところでもやめてしまう癖がついてしまいました。勉強だとあまりそうはならないのですが、ゲームで特に顕著です。


 ゲームで飽きが来やすい理由は「どこまで行っても結局ゲームだしな……と思ってる」とか、「できなくても最悪困らない」とか、「やめた後に残るものがぱっと思い当たらない」などいろいろありますが、今回はそこの話ではありません。


 私もいっぱしのデジタルネイティブ世代(死語?)なので、ソーシャルゲーム、いわゆるソシャゲをいくつかやってきた遍歴があります。こちらもやはり合わないと思ったものはすぐアンインストールする傾向にあって、プレイ時間を覚えているものだけでも、


白猫プロジェクト:2時間

シャドウバース:1時間

ブルーアーカイブ:2週間(うち1週間はログインしていなかったので実質1週間)


惨憺(さんたん)たるもの。数か月単位で続けば奇跡と言っていいくらいなのですが、そんな奇跡的に続いているソシャゲを挙げるなら、以下になります。


クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ(以下黒猫):約7年

Tokyo 7th シスターズ(以下ナナシス):約5年

ウマ娘 プリティーダービー(以下ウマ娘):約2年半


 ナナシスを除き、リリース当初からプレイしている(していた)という入れ込みようなのですが、2023年9月末現在、プレイしているのはウマ娘のみ。最近リリースされたポケモンスリープなど、狭義のソシャゲに当てはまらなさそうなものを除いて、唯一プレイしているのもウマ娘です。黒猫もナナシスも、後述する通りそれなりにハマっていたのに、飽きてやめてしまうのは一瞬だったな、という心残りに似たものが今でもあります。上手くできるかは分かりませんが、今回はこのあたりのことを言語化できたらなと思います。



 上述の3つのソシャゲのうち、黒猫は離れた理由がはっきりしています。他2つにも言えることですが、ストーリーが魅力的であり、定期的に開催されるイベントのストーリーだけでなく、作品世界の根幹に触れるメインストーリーも人気を博していました。しかし2021年夏にメインストーリーが完結。もしかするとメインストーリーに付随するクエストなどがいくつか追加されているかもしれませんが、ラスボスを倒したことではっきりと「完結」と銘打たれました。

 もちろんあまりだらだらと続けていても仕方ない、という側面もあるので、きれいな形で完結したのはよかったのですが。そこから後は直接「黒猫のウィズ」というゲームそのものの設定には関わらない、イベントストーリーが追加されるだけになってしまいました。イベントストーリーもクオリティは高いのですが、黒猫自体の客層が幅広いのか、ストーリーの方向性はかなりバラエティ豊かで、中には当然not for meなものもありました。このあたりはネット小説も同じですね。

 確かこのメインストーリー完結で、離れてしまったユーザーもそれなりにいたはずです。いつまでも引っ張るような展開なら「いつまでやるんだよ」と言われ、終わったら終わったで「なんでここで終わらせるんだよ」と言われ。じゃあどうすればいいんだ、という感じですが、これはソシャゲそのものが抱える問題のような気もします。


 当時黒猫の周りで起きていた問題は、これだけではありません。推定で白猫プロジェクトのシステムが特許侵害しているとして、任天堂がコロプラを訴えた裁判も進行中でした。個人的にはコロプラの態度が不誠実だったのが良くないと思っているのですが、これは当時の記事を掘り返せば、もっとソースが確かなものが出てくると思いますのでそちらに任せましょう。今はどうか分かりません(この前置きばかりになってしまい恐縮です)が、白猫はコロプラの稼ぎ頭。黒猫は大差をつけられての売上2位だったはずです。そんな白猫騒動に巻き込まれて、黒猫もついでに畳んでしまうのでは、という危惧が確かにありました。黒猫ユーザーからすれば完全にとばっちりなのですが、同じ運営元として、コロプラという企業そのものに対する信用が落ちるきっかけになったのではと思います。


 加えて黒猫のリリース当初から開発陣として支えてこられた方がプロジェクトを離れたり会社を辞めたりして、開発陣がほとんど全部入れ替わってしまいました。これが自分としては離れる主要因になったと思っています。リリース当初からの開発陣は、ユーザーの声を拾い上げることも熱心にやっていて、しっかりプレイしているんだなというのが伝わってきましたし、実際月1で開催される魔導杯(まどうはい)という対人イベントでも当然のように上位に食い込んでくる開発陣もいました。開発者自身がプレイしてみて、不便なところや困るところを発見し、次の開発につなげていくというサイクルはやはり大事なようで、ブルーアーカイブはこのあたりを熱心にやっていることで知られています。ウマ娘は疑問符が付きますが……。

 開発陣が入れ替わるだけならまだいいのですが、そこからゲームの操作性や売り出し方が大きく変わりました。黒猫ってゲームにそれは求めてないんだよなあ、という機能が次々追加されて、ログインボーナスを受け取ることさえ面倒になった記憶が残っています。まだ比較的ソシャゲに時間を割ける学生時代にこんなことを思っていたので、よほどですね。結局(微課金の範囲を出ませんが)ガチャにお金を出したり、サントラを買ったり、ラバーストラップなどのグッズを集めてみたりと、それなりに愛はあったはずなのですが、スッと熱が冷めてやめてしまいました。



 この黒猫とほとんど並行してやっていたのが、ナナシスです。どこで見つけてきたのか、音ゲーをいろいろ触った末にここに落ち着きました。音ゲー業界だと以前で言えばバンドリ、今はプロセカが覇権を握っているという印象なのですが、器用な指さばきを求められるゲームはダメ、でも音ゲーはやりたいという自分のような人間にとって、ナナシスはすごく居心地がよかったです。以前は「肝心の音ゲーのシステムだけが本当にダメ」というのが専らの評価だったナナシスですが、2017年秋に大型アップデートが来て、バンドリに似たゲームシステムに変わりました。しかもナナシスの最高難易度がバンドリやプロセカの上から二番目か三番目くらいという、比較的簡単な位置づけで、週替わりのイベントも対人要素というよりかは自分一人でイベントポイントを収集する方式がほとんどだったので、フラストレーションがそれほど溜まることなくゲームを遊べました。

 正直なところ、ライブステージはプロセカなどで難しい譜面をクリアしてきた猛者にとっては物足りなさがあると思いますが、おそらくあまりに音ゲーを極めた人間はナナシスのターゲットではないのでは、とすら思います。もちろんナナシスも音ゲー頑張りたい勢を取り込むためか、かなり難易度が高く「これは無理だな」とハナから諦めてしまうような譜面もリリースしていたのですが。それよりもナナシスはストーリーが抜群にいい、という特徴はナナシスファンであればほとんどの方がうなずくところだと思います。アイドルをあくまで「商品」として利用しようとする無慈悲な大人の世界と、それでも自分の伝えたいものを信じて活動を続けるアイドル、という構図(解釈が間違ってたら申し訳ないですが)。ちょうどリアルタイムでストーリー公開に立ち会ったというのもあって、AXiSが登場するEP4.0、SEASON OF LOVEが登場するEP5.0は特に印象深いです。


 黒猫と同じように、音楽もすごくいいと思っていて、Le☆S☆Caのシングル「ミツバチ」も買ったりしました。Le☆S☆Caが一番好きだと思っていましたが、他にも既存の曲ではありそうでないものばかりで、コアなファンが多いという印象です。ただ、社会人になってゲームにリソースを割けなくなってしまい、ナナシスは自然消滅するようにリタイアしてしまいました。「新アイドルが登場して、運営の方針が変わったように見えた」という、黒猫と同じような理由もあるにはあります。ただナナシスというコンテンツ自体が好きでなくなったわけじゃないな、と思い、先日再インストールしたのですが、やはり続ける気にはならず。一回やめてしまうと、なかなか復帰も難しいのかもしれません。



 そして今、ウマ娘にすっかりお熱な自分がいます。ゲームだけでなくコンテンツとしての供給にも触れ、ついには二次創作SSの執筆まで手を出しました。私はもう間もなく小説書きを始めてからちょうど十年になるのですが、今までずっと一次創作が専門で、ここに来て二次創作に初めて触れることとなりました。さらについ先日名古屋で行われていたライブにも現地参加。関西在住の私が人生初ライブで二日間遠征を選ぶという、なかなか無謀なことをした自覚はありますが、ただゲームをしたりアニメを見たりだけでは得られない、感慨深い思い出になりました。

 そしてだからこそ、今まで感じたことのない、漠然とした恐怖に襲われているのです。これだけ入れ込んでいるウマ娘も、いつか飽きる時が来るのではないか、と。もちろん年を取ってもウマ娘以上に興味の持てることができて、そちらに移るのであれば悪いことではないでしょう。どれだけおじさんおばさんになっても、少年少女のような目で新しいことに興味を持ち続けるというのは、すごく大事なことだと思っているので、その姿勢は大事にしたいなと感じます。ただ、他のことに興味が移るわけでもなく、ただ単に興味が失われてしまった、という状態になると危険だな、と思うのです。


 ウマ娘というコンテンツに今まで以上にお金をつぎ込んでいるから、という理由ではないと思っています。黒猫にもナナシスにも、ウマ娘ほどではないにしろ課金していますし、実はもっと課金額の大きい人からすれば、ここの差は大したものではありません。


 二次創作に手を出すところまで行って、引けないところまでハマり込んだから、というのはあるかもしれません。ゲーム内の音楽が好きで円盤まで買ったところは全てに共通しています。黒猫とナナシスになくて、ウマ娘にあるものでパッと思いつくのは、二次創作に手を出しているかどうか。もちろん黒猫やナナシスをやっていた頃は、「これで二次創作をやってみたい」という発想自体なかったのですが。

 あとウマ娘だけの特徴を挙げるとするなら、ウマ娘というコンテンツ自体が二次創作であるという点。競馬が一次創作相当で、ウマ娘は二次創作、ウマ娘を原作として何か書くと三次創作に相当すると私は考えていて、史実という強力なバックグラウンドがあってこそ、ウマ娘というコンテンツは人の心を動かせるのだという話は以前noteでしています。もしこのあたりがウマ娘にハマっている理由なのだとしたら、ウマ娘というコンテンツの方針そのものがガラッと変わらない限りは、夢を見てコンテンツにのめり込んでいられる、ということになります。


 黒猫もナナシスも、過去にあれだけハマっていたというのに、飽きる時はあまりにもあっさりだった。ウマ娘もいつか同じことを繰り返すかもしれない。そんな恐怖を抱いているのか、それとも単に、黒猫とナナシスの比ではないほどウマ娘にハマっているだけなのか。「好きであること」に理由を求めすぎてはいけない、とどこかで見た記憶がありますが、何か言語化できる理由を持っておかないと、コンテンツから離れてしまった時のことを考えて不安になる。ライブに行って、今までとは全く質の異なる感動的な体験をしたことで、むしろそんな不安定な気持ちになっています。似たような経験をしたことのある方は、いますか?

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