コント『不動産屋』
ツッコミ「貼りだしてあるの見てもどれもピンとこないなぁ。……ちょっと中で聞いてみるか。すみませーん」
ボケ「はいどうも。いらっしゃいませ」
ツッコミ「いま引っ越しを考えてまして、住む部屋を探してるんですけど」
ボケ「あぁ…………そうなんですか」
ツッコミ「あれ? なんか難しい顔されますね。ん? いま営業中ですよね、ここ」
ボケ「いやいや、ちょっとねぇ。いい物件をご紹介できるかなってね。ほら、ペットOKのところって意外と少なくてねぇ」
ツッコミ「え? ペット?」
ボケ「あなたのご主人様、あとからいらっしゃるんでしょ?」
ツッコミ「いや、誰がペットだよ」
ボケ「え? 違うんですか?」
ツッコミ「ぼく、犬か猫にでも見えます? 人間ですから。動物じゃありませんから」
ボケ「いえいえ、誤解しないでください。あなたが犬だなんてそんな失礼なことは言いませんよ」
ツッコミ「あ、そうですか?」
ボケ「そういう意味じゃなくて、あなたのご主人であるムチを持った女王様があとから来られるっていう――」
ツッコミ「そういうペット!? ぼく、女王様のペットとして飼われてるように見えます!?」
ボケ「はい」
ツッコミ「素直に答えるねぇ! いやいや、そういう趣味はないですから。女王様なんて来ません。第一、そういう意味のペットOKの物件なんてあるわけないでしょ」
ボケ「プレイ中の声が五月蝿くないように完璧に防音されたお部屋とかありますが」
ツッコミ「あるの!? SMプレイ仕様の部屋が!?」
ボケ「はい」
ツッコミ「また素直な返事だな! でもそれはいらないんで。ぼくはペットも飼ってないし女王様もいない独身なんで1Kとかの小さい部屋でいいんですよ。そんな特別仕様とかは必要ないです」
ボケ「1K?」
ツッコミ「あれ?……1K、わかりますよね?」
ボケ「ええ、勿論です。1K。つまり1国家ってことですね」
ツッコミ「規模がデカいよ!」
ボケ「でも1Kとおっしゃられて」
ツッコミ「そのKは初耳だわ! 小さい部屋って言ってるんだから国家のわけないでしょうよ!」
ボケ「バチカン市国とかもご紹介できますけど」
ツッコミ「最少だけどもっ! それでも手に余るわ!」
ボケ「それでは国家ではないと」
ツッコミ「当たり前でしょ。ぼくは小さいところでいいんです。っていうか、ぶっちゃけ家賃を抑えたいんですよ。だから小さい部屋でいい」
ボケ「なるほど、そちらがご希望ということですね。であれば、あまりおおっぴらにご紹介するのは気が引けるんですが、ワケありのところとかは……」
ツッコミ「あっ、それって」
ボケ「その、幽霊が出る可能性があったりなんかしたりしてねぇ」
ツッコミ「あぁ~、まあそれもありですね。あれでしょ? ワケありだから家賃が安いっていう、いわゆる事故物件ってやつですよね?」
ボケ「いえ、近所にある墓地です」
ツッコミ「墓!? 部屋じゃないじゃん! ふきっさらしじゃん!」
ボケ「骨付き一戸建ての立派な物件ですが」
ツッコミ「庭付き一戸建てみたいに言うなよ! すでに入居者いるじゃねえか!」
ボケ「いいところなんですけどねぇ。花とかもきれいで」
ツッコミ「もういいもういい。そういうのはもういいんで普通のにしてください」
ボケ「それじゃあこちらの1DKの物件とかいかがでしょうか」
ツッコミ「1DK? うぅ~ん……そんなに広さはいらないんだけどなぁ」
ボケ「広さ?」
ツッコミ「だってダイニングキッチンでしょ? その分広いじゃないですか」
ボケ「いえいえ、これは1DK。1独裁国家です」
ツッコミ「また国家!? しかも独裁ってなんだよ!」
ボケ「部屋に独裁者がついてます」
ツッコミ「それシェアハウスだわ! そして独裁じゃなくなるし! 部屋を借りられた時点で政権崩壊してるわそれ」
ボケ「これも駄目となると他は……」
ツッコミ「まともな部屋ないのかよ」
ボケ「この1LDKの物件はいかがで?」
ツッコミ「どんどん広くなるじゃねえか。リビングとかいらねえよ」
ボケ「リビングなんてありませんよ。これは1霊園と独裁国家です」
ツッコミ「墓と国しかねえのかよ! 怖いわこの店!」




