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魔王さまと王子さま  作者: ぼんさん
9/10

8話目

ぎゃあぎゃあと鳴き声が聞こえ、少しずつ頭が起きだす。まだ重い目蓋をほんの少し開ける。

見慣れていない天井や壁、家具やベッド。あそこよりも暖かい部屋。

そうだ。僕、あの国からでられたんだ。夢じゃなかったんだ。

昨日のことをぼやっとした頭で思い出す。


窓を覆うカーテンは日差しをほとんど遮っているが、その裾からは魔王様の白いローブと足が見えている。


「会わせろ会わせろ言われても、まだ寝てるんだよ。もう少し時間を考えてくれ」


ぎぃぃぃぃ

低い不満声だ。


「まおうさま…?」

僕が声をかけるとカーテンが開く。

朝日が目に入る。眩しくて目が細くなってしまう。

それと同時に何かが僕に突進してきた。


「うぐっ」

お腹に軽い痛みが走る。寝起きの僕はその力に勝てるはずもなく、そのままもう一度ベッドに押し倒される。

柔らかなベッドのおかげでボフンと体が沈む程度で済んだ。


「お前なあ…」


僕は頭だけを起こして、お腹を見てみる。

僕のお腹の上にいたのは、茶色い、鳥?


ギィギィ!ギィギィ!


僕のお腹の上でぴょんぴょん飛び跳ねながらくるくる回っている。重くは無いけど、何が何だか分からないから動けない。


「お前、求愛のダンスをするな。私の夫だぞ」


ギィィィイ!!


魔王様に向かって文句を言っているように聞こえる。翼を広げ、頭を低くし、威嚇のポーズを取っている。やっぱり怒っているみたいだ。


「おはようぼうや」

「おはようございます」

「朝から騒々しくてすまない」


ギィィィイ!!

怒ってる。目が鋭くなって、魔王様を睨んでいる。


「ここの後ろの森に住んでるイッシュウハヤブサって鳥だ。ぼうやを一目見たくて朝から押しかけてきたんだ」


魔王様に興味が無くなったのか、またくるくると跳ね出した鳥さんは先程の鳴き声よりワントーン高くなった甘い声でキィキィと歌い出した。


「本格的に求愛し始めたぞ、コイツ…」


大きなため息をひとつついた魔王様は、そのまま鳥さんの首を摘んで、窓にポイって放った。すぐさま窓を締めて鍵をかける。

ガンガン足で窓を蹴っている。すごく怒ってる。


「うるさい。お前の嫁に言いつけるぞ」


その言葉を理解したのか、一瞬にしてしょぼくれた。そして、僕の方を見ながら窓から離れていった。おそらく巣に戻って行くのだろう。


「本当に朝から騒々しい…」

「えっと、お疲れ様です」

「いや、あいつも悪いやつじゃないんだがな。少しぼうやが特殊なんだよな」

「僕が特殊…?」

「その話もしなくちゃな。その前に」


チラリと扉を見ると、ちょうどコンコンとノックされた。


「リーナが起こしに来たし、服を着替えて朝ごはんを食べに行こうか」

「はい」


僕、何か、特殊…。

なんなんだろう。


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