別に魔王とか余裕なんだけどなぁ……(ちらちら
「あ~~、別に魔王とか余裕なんだけどなぁ」(チラチラ)
黒髪の青年が、大きな声で独り言をつぶやいた。
そして首に下げた黒い角を見せつけるようにして、露骨にチラチラと周りを見回す。
視界に入っている同じ村の者が、『うぜぇ』と言って去っていく。
一人、二人、また一人と、皆が『うぜえ』との言葉を発して立ち去っていく。
中には地面に唾を吐いてから去っていく者もいた。
黒髪の青年はそれを見て静かに息を吐く。
「……ふぅ…………………………あ~あ」
黒髪の青年は、村中から煙たがられていた。
その理由は、とてもウザいから。
昔はそこまで酷くはなかった。
少なくとも露骨に無視されることはなかったし、頼られることもあった。
しかしある日を境にそれは一変した。そのある日とは、この村から勇者が誕生した日だ。
その日から黒髪の青年ジローに頼る必要がなくなったのだ。
ジローはとても強い少年だった。
どのくらい強いかというと、準B級クラスと言われている魔物ビックリベアーを素手で殴り殺す程の強さだった。
E級は子供だと危険。
D級は大人でも危険。
C級は村でも危険。
B級は街でも危険。
A級は国でも危険。
S級は世界の危機。
そんな風にランク付けされている中での準B級だ。
当時の村人は、その準B級を倒したジローを手放しで称賛した。
村を救った英雄だと、皆がもろ手を上げて褒め称えたのだ。
このときのジローの対応が好意的で、人に好かれそうな言い方なら違ったのかもしれないが、村人から称賛されたジローは――
『いや~、村の近くをウロウロしてウザったから殴っただけだしぃ、そんな大したことじゃねえ。あまり人に言わないでくれよ、俺は目立ちたくないんだよ』と、大きな声でそう言い放った。
村人たちは『またそんな謙遜を』と、ちやほやするように返した。
誰もがジローを褒めたたえた。村の脅威をたった一人で退けたのだから。
本当に凄い偉業だった。
だがしかし、目立ちたくないという点には、どうにも同意できなかった。
何故ならジローは、仕留めたビックリベヤーを片手で引き摺りながら堂々と村に帰って来たのだから。
これが深夜なら違ったのかもしれないが、戻って来たのは丁度昼時。
畑仕事に出ている者も村に戻ってくる時間帯だ。丁度人が多い時間帯ともいえる。そんな時間帯に帰って来たのだ。
誰がどう見ても目立つ。
一瞬、何かの冗談かと思っていたが――
『オレは静かに暮らしたいだけなのになぁ~』と、そんなことを続けて言った。
これにはさすがにおかしいと感じた。
だがしかし、準B級の魔物を倒したのだ。少しぐらいおかしくてもかまわない。ジローは村の英雄だと、村人は全員そう思うことにした。
しかし数日後――
『あ~~、ヤツを殴ったときに肩をよく動かしたから、妙に調子がいいな~』
『あの毛皮どうしたいいんだろ~? でもな~、下手に売ったら目立っちまうかもしれないしな~』
『うわ~参った参った、使い道ねえから無駄にデカい敷物にしちまってるよ~。何かいい使い道ねえかな~。いや~困ったなぁ』(ちらちら)
と、そんなことを大声でつぶやくようになった。
最初は皆あれこれと助言をしたり、ビックリベヤーを倒したことを褒め称えた。
『あっ、だったら私が代わりに売って来ましょうか?』
『羨ましいねぇ~、その毛皮ってすっごい高級品として扱われているよね?』
『冬には温かそうですなぁ。しっかりとなめせば良いですよ』
『あれを素手で倒すなんてホント凄いなぁ』
『まるで伝説の勇者のようだ』と。
それに対しジローは――
『いや~、やっぱバレちゃうかもだろ? オレはただ静かに暮らしたいんだよね。分かるかな? 分からないかもなぁ~』
『これってそんな高級品なの? まあ肌触りはいい方かもな~。ほら、強い魔物だったらしいし? だからかな~』
『なめすか~、サクっと倒しちゃったみたいになめしちゃうかな~。さくっと倒しちゃったみたいにぃ~』
『いや、それ程でもない』(ちらちら)
――と、心底ウザかった。
口では称えるなと言っているのに、その態度は真逆だった。
しかも一つ褒めたら十褒めろといった感じのしつこさ。
それに言い方も鼻についた。時には鼻に突き刺さるほど。もうツッコミ待ちなのではと思うほど。
最初は笑顔で対応していた村人も、段々と愛想笑いへと変わっていった。
迂闊に褒めようものなら、訊いてもいない魔物との戦いを語り出す始末だ。
そして最後には決まって、『別に大したことなかった』で締める。
もう、『うぜぇ』の一言だった。
当然誰もがジローを避けるようになった。
本来ならそういった行き過ぎた部分は、保護者である親が諫めるはずだった。
だがジローには親がいなかった。
ジローが幼いときに、二人揃って魔物に襲われて亡くなっていたのだ。
他に親族はおらず、ジローは天涯孤独となった。
そして村の英雄であるジローには、村長であって諫めにくかった。
ジローはそのまま成長してしまった。
亡くなった親の言いつけ、『人には親切にしろ』『人の役に立つ人間になれ』そして、『自分から成しえた偉業を言うな。察してもらうことが最高に格好いいのだ』という言葉を心に、ウザい青年へと成長した。
その後もジローは魔物を倒し続けた。
正真正銘のB級、漆黒のダークシャドーブラックドラゴンも倒した。
漆黒のダークシャドーブラックドラゴンが村にやって来たとき、村人は全員諦めていた。
大きな街であっても半壊することがある程の凄い魔物だ。
こんな小さな村など、漆黒のダークシャドーブラックドラゴンが吐くブレス、ダークブラックフレイムブレスによって黒く焼き払われるだろうと諦めていた。
だがしかし、それはジローによって討伐された。
何の苦もなく、漆黒のダークシャドーブラックドラゴンをグーで殴り倒したのだ。
村人は歓喜に湧いた。
少し、多少、かなりウザいヤツだが、またも村の危機を救った。
ジローをウザがっていた者も、これには素直に褒めたたえた。
さすがはジローで、『さすジロ』などという言葉までも生まれた。
そんな村人たちに対しジローは、いつも通りだった。
『あ~~、邪魔だからちょっとやっちゃったよ。参ったな~、オレは目立ちたくないってのによぉ。あ、手が黒くなっちゃった。これだから嫌だったんだよな~手を洗わないとだよ』
そう、いつも通りとてもウザかった。
『目立ちたくない』『あ~、ちょっと殴っただけなのになぁ~』と、いつものヤツが続いていた。
その後もジローの方から何か言ってくることはないが、褒めろという空気が半端なかった。構っての圧が凄まじかった。
ある時などは――
『あっれ~? アイツを殴ったときについた黒い汚れがまだ落ちねえよぉ。参ったな~、手の甲が黒いままだ~。あ~~黒いなぁ~』(ちらちら)
そしてまたある時は――
『どうしよっかな~。黒い鎧の素材になるみたいだけど、これを売りに行くと絶対に目立っちまうような~。ああ、マジで邪魔だな~。いっそどこかに捨てちまうかなぁ~』(ちらちら)
――と、いったように、隙あらばアピールしてきた。
それはもう、『オレって凄いでしょ』感が半端なかった。
視界に入るだけで何かしらのアピールをしてきてうざったいことこの上ない。
避けるように目を逸らしても、視界の先に回り込んで来ることもあった。
またある時は、竜の鱗を団扇代わりにして扇ぎ始めたり。
またまたある時は、竜の爪をくくり付けた物を鍬代わりに使ってみたりなど、言葉には出さないが、常に讃えろと言ってくるようだった。
当然、迂闊に訊ねようものなら――
『ブレスぐらい何てことなかったんだけどさ、ほら、ブレスを吐かれると村が危なかっただろ? だから速攻で喉を潰してやったんだよね。まあ大した事ないんだけどね。皆には秘密だぜ? 誰にも言うなよ? マジで』
『まあ見逃してやっても良かったんだけどさ、村の近くまで来ただろ? だから仕方なく倒しちゃったんだよね。本当は目立ちたくなかったんだけどさ。オレはだたひっそりと暮らしたいだけなのにな~。ほら、スローライフってヤツが好きだしさ』(ちらちら)
それはもう、ウザさが加速していた。
確かに村は助かった。それには誰もが感謝をしていたし、きちんと感謝の気持ちを言葉にもした。
だがジローは、一の感謝から十の感謝を求め、十の感謝から百を求めた。
そんな誰もがウンザリとする中、ある一人の青年が勇者になった。
魔王を倒せというお告げと共に、光り輝く聖剣が天より舞い降りたのだ。
その青年の名はヴァイス。ジローと同年代の青年だった。
イマイチぱっとしない見た目のジローとは違い、そのヴァイスはとても整った顔立ちをしていた。言うならば村一番の美男子だ。
その美男子が聖剣を天から授かり、丁度村にやって来たビックリベヤーを聖剣で細切れにしてやった。
村は新たな英雄に湧いた。
しかも今度の英雄は聖剣を与えられし勇者。
そして何よりウザくない。とても爽やかな青年。
ヴァイスは称賛の言葉を頬を染めながら嬉しそうに聞き、程よい謙遜さと天狗にならない態度で返事を返してくれていた。
そして何より、感謝の言葉を要求してくるような真似はしなかった。
勇者の噂はすぐに王都へと届き、王の勅命によって勇者ヴァイスは、魔王を倒す旅へと立った。
そんなわっちゃわっちゃとしたことがあったが、ジローは変わらなかった。
村に近づくを魔物を倒し続けた。
中にはB級どころか準A級の、サウザントエルダーエンシェントレリクスグレートトレントまでもいた。
人の言葉を理解する、枯れ木のような巨木の魔物サウザントエルダーエンシェントレリクスグレートトレント。
ジローはその魔物を、レバーブローで抉るように打ってへし折って倒した。
轟音を鳴らし倒れたサウザントエルダーエンシェントレリクスグレートトレント。
前までのジローだったらそれを引きずって村に行ったかもしれない。
しかしジローは多少は学習していた。引きずっていくのは露骨過ぎると学んでいた。
だからジローは、魔物の一部だけを剥がして持ち帰った。
枯れ木のような枝を颯爽に担ぎ、流し目で村を歩き回る。
できるだけさり気なく、貴重な素材であるサウザントエルダーエンシェントレリクスグレートトレントの枝を周りに見せつけた。
だが――
『…………』
『……』
『…………はんっ、ただの枯れ木だろ』
村人からの反応はよくなかった。
しかもそれどころか、蔑むような視線を飛ばして来たのだった。
鞍替えしたというべきか、村人はジローのことをもう要らないとすら思っていた。
もう勇者がいるのだ。
魔王を倒しに旅立ってはいるが、その勇者が戦っているのだから、こんなへんぴな村に魔物が来るはずがない。皆がそう思い込もうとしていた。
要は、ジローに頼ることが嫌になっていたのだ。
だからそう思い込もうとしていた。勇者がいるからこの村は安全だと――
そしてその願い通りになっていた。
魔物が村にやってくることはなかった。村の者は皆それに安堵した。
『勇者が魔物を倒しているのだろう』『勇者に魔物が向かっているのだろう』などと、勇者がいるから村が安全なのだと思っていた。
村の者が全員そう思っている中、ジローは様々な物を担いでやってきた。
白色の見たことがないモノや、とても長い爪のようなモノ。ときには何かの翼のようなモノなど、本当に様々なモノを担いで村の中を歩いていた。
全員がそれを無視した。
決して触れぬように、誰もがジローから距離を取っていた。
そんな日が長く続いたある日。村に一つの報せが届いた。
その報せとは、勇者が魔王を討伐したという報せ。
この村から出た勇者が、とうとう魔王を討伐したのだ。
これで魔物に怯える必要はない。そう誰もが歓喜に湧いた。
そんなお祭りムードの中、ジローはとても大きな角を首から下げていた。
人の身の丈程ある大きな黒い角を。
アクセサリーにしては大き過ぎるそれは、明らかなアピールだった。
あまりに露骨過ぎるそれに対し、村人は魔王討伐の報せに水を差された気持ちになった。
きっと何か大きな魔物でも倒しただろうだろう。
だが勇者が倒した魔王に比べれば格下だ。だからだれもその角について触れなかった。自慢話に付き合う気はさらさらなかったのだ。
あり得ない程大きな角だというのに、誰もそれを見ようとしなかった。
そしてその報せが届いてから一カ月が経過した。
そろそろ勇者が村に戻ってくる頃。そわそわと誰もが首を長くして勇者の帰還を待った。
そんな空気の中、ジローは変わらずに黒い角を首から下げていた。
ただ何故か、その黒い角は小さく萎んでいた。今では雄牛の角程度の大きさ。
そしてジローも心なしか萎んでいるように見えた。
頬はこけ、ニヒルな印象だった口元は堅く結ばれていた。
まるで何かに耐えているかのように……
さすがに何人かはジローのその様子に心配になった。
もしかして何かあったのではと。だが――
「あ~~、別に魔王とか余裕なんだけどなぁ」
大声でそんなことを言い、横目でこちらをチラチラと見てきた。
心配をして損したと、何人もが『うぜえ』と言って立ち去って行った。
「………………あ~あ。上手くいかないもんだなぁ」
ジローはぐったりとしてその場に座りこんだ。
彼はもう限界だった。四肢に力は入らず、視界は白く霞んでいた。
味覚などはとっくになくなっており、不思議な言い方だが、胃袋がなくなっているようだった。
何を食べても喉を通らず、咀嚼した物を全て吐き出してしまっていた。辛うじて水が飲める程度の状態。
「そろそろか……」
黒髪の青年ジローは、大魔王との戦闘時に受けた即死魔法、【デッドエンド】によって身体が蝕まれていた。
人の言葉を理解する魔物サウザントエルダーエンシェントレリクスグレートトレントから、魔王の背後に大魔王がいることを聞き、色々と準備を進めて大魔王を倒しに行ったのだった。
そして大魔王が死ぬ間際に、即死魔法デッドエンドをジローに放った。
ジローは強靭な精神でそれを抵抗した。
だが完全にレジストできた訳でなく、ゆっくりと死に蝕まれていった。
大魔王を殴り殺したジローは、大魔王を倒した証にと、大魔王の角をへし折ってそれを持ち帰った。
大魔王の黒い角には特別な効果があり、角から発する力が魔物を遠ざけていた。
ジローは丁度良いと思い、それを首から下げて村で過ごした。
当然、その黒い角が大魔王の物であると察してもらう意味も含めて、首にかなり負担の掛かる黒い角をぶら下げた。
しかし誰にも気付いてもらえず、最後のときを迎えようとしていた。
「ぁ、ぁぁ……」
段々と声が出なくなっていた。
息をするのもきつくなってきていた。。
『死』と言うものが、少しづつ降り注いでくるように感じていた。
少しでも意識を失えば、もう目覚める事はできないとジローは自覚していた。
霞かかった視界に、のどかで平和な村の景色が映る。
「……守れ、たのか、な……。父さん……」
ジローは親の言いつけを愚直なまでに守っていた。
『人には親切にしろ』『人の役に立つ人間になれ』との言葉に従い、村にやって来そうな魔物は全て倒していた。
そして挙句の果てに、世界の危機S級クラスの大魔王までも倒した。
何か見返りを求めるつもりはなかった。
だが、少しぐらいは褒めてもらいたいという気持ちはあった。
『凄いね』や、『よくやった』などの、そんな言葉をかけて貰いたかった。
しかし彼には、『自分から成しえた偉業を言うな。察してもらうことが最高に格好いいのだ』という縛りがあった。
もちろん、両親はそんなつもりで言ったのではない。ただ謙虚であれと、そんな思いからそう言っただけだった。
そうやってカッコつけろと、そんなつもりは一切なかったのだ。
しかしジローは覚えていた。父親がさり気なく人を助けていた姿を。
幼心に最高にカッコよく映っていたのだ。だから真似したかった。
思考がぼんやりとしていく中、ジローは己に問うていた。
人の役に立てただろうか、人に親切にできていただろうかと。
人の役に立てたとは思っている。
しかし、誰かに親切にできたかというと、正直、駄目だった気がしていた。もっと自分を頼ってくれたらと……
何か上手い言い方があったのではと、今際の際で反省する。
でもやはり、どうやって言ってたらよかったのか分からない。
そんなモノは習っていなかった。自分なりに、謙虚にしたつもりだったのだが、村人からの反応はイマイチだった。
思い出すのはビックリベヤーを倒したときのこと。
一番最初に褒めてもらったときは、本当に、本当に嬉しかった。
だから最後に、もう一度だけ褒めてもらいたかった。
誰かに察してもらって……
( もう、意識……が…… )
瞼を閉じているというのに、ふわふわと白い光が広がっていき――
「――ねえ、お兄さん。その黒くて綺麗な角はどうしたの?」
「えっ」
声を掛けられて目を開くと、そこには一人の女の子が立っていた。
女の子はしゃがんで首に下げている黒い角をまじまじと見つめている。
「……あ~~、気付かれちゃったか~。これはねぇ、大魔王の角なのさ」
「だいまおうっ!? しゅごいっ!」
「ふっ、そうだろう? なんたって大魔王だからね」
「だいまおうっ! だい、まおう」
大魔王という仰々しい響きが気に入ったのか、その少女はやや興奮気味に喰い付いてきた。
ジローは最後の力を振り絞り、その少女と言葉を交わす。
「大って付くぐらいだからね、ただの魔王よりも上さ」
「じゅごいっ! 大ってしゅごい」
「そうだろう?」
「お兄さんはその大なまおうを倒したりしたんですぅ?」
「そうさ。だからこの黒い角を持っているんだ」
「しゅごいです! しゅごいです!」
「はは。でもね、これは秘密なんだよ。ほら、あまり目立ちたくないだろ? だからこれは秘密にしてくれよ」
「はいですっ、ミーシャちゃん、ちゃんと秘密にするです」
「ありがとうミーシャちゃん。ミーシャちゃんはおりこうさんで偉いね。よし、そんな良い子のミーシャちゃんにはこれを上げちゃう」
「わぁあああっ! 貰っちゃっていいのです? キラキラして綺麗ですぅ」
「うん、だからみんなには秘密だよ?」
ジローは、ほとんど動かなくなった身体を無理矢理動かし、首に下げていた黒い角を彼女に手渡した。
「さてと、お兄さんはちょっとひと眠りするから……」
「はいです。またね、だいまおうを倒したお兄ちゃん」
「はは、それは秘密……だ…………から……ね…………」
こうしてジローは、幸せに包まれながら息を引き取った。
己が望んでいたモノが最後に手に入り、とても満ち足りた幸せな気分で……
その後、魔王から大魔王がいることを知らされた勇者と、黒い角を受け取った少女の証言により、大魔王の調査が行われた。
そして大魔王の居城を探し当て、角がない大魔王の亡骸を発見して、少女がジローから聞いた話は事実だとされた。
ジローの自宅からは、大魔王の側近から剥がし採った物が多数見つかり、それも大魔王討伐の裏付けとされた。
こうして黒髪の青年ジローは、国民全員から感謝されることとなったのだった。
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