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[4]-2

 見ると、確かに俺の書いた『入部届』が副島の手の中にあった。しかし、どうして?

 俺はそんなものを書いた覚えはないのに、どうしてそれがお前の手の中にあって、しかもきちんと俺の署名がされているんだ。


「あなたは覚えていないかもしれないけれどね、」

「魔法だな。魔法を使ったんだな!」


 俺は思わず大声を上げてしまった。周りの人間が俺と副島に目をやる。しかし、何事も無かったかのように俺は笑顔で答えていくと、あっという間に周囲の誤解は解けていった。


「そうよ、その通り。魔法を使ってあなたに署名を書かせたの。楽勝だったわ、魔法を使えばこれくらい」

「認めんぞ、俺は絶対に。その署名が俺の書いたモノだという証明は絶対にしないからな」

「じゃあ、書いていないという証明は?」

「それは……」


 悪魔だ。悪魔の証明過ぎる。

 書いているという証明は簡単にできたとしても、書いていないという証明を出来るはずがない。

 つまりこの勝負(勝負と行って良いのか? これって)はそもそも土俵に上がった時点で俺の負けだということになる。はっきり言って不愉快だ。不可解でもあり、不愉快でもある。


「じゃあ、部活動以外にやることでもあるの? よっぽど重要なことでもあるんでしょうね? マンドラゴラの育成だとか、弟子の育成だとか、新しい魔法書の執筆だとか。何だって良いかもしれないけれど、嘘だけは辞めてよね」


 巫山戯るな、お前の価値観がどこかおかしな方向にぶっ飛んでいやがることぐらいは昨日の付き合いで充分に分かっている。だからといって、お前の価値観を否定するつもりも無ければ肯定するつもりもない。それを決めるのは俺じゃあ無くて、周囲だからな。意味が分かるか? 副島。


「何をブツブツ言っているのか分からないけれど、つまり肯定ってことよね」


 放課後。

 結局何もすることがない俺にとって、副島との付き合いは時間つぶしには最適だった、という結論に至った。別に副島が悪いんじゃあない。副島が勝手に二人分の入部届と創部届を総務に提出したから、というわけでもない。じゃあ、何でかって? 何でだろうな、ハックルベリーにでも質問してくれやしないか。え? ハックルベリーは果物だろ、って? 確かアメリカだかイギリスだかのスラングだ。もしそんなことも分からないやつが居るならば、そういうことだということで忘れてくれ。覚えて貰ってる方が恥ずかしくなるぐらいだ。

 図書室に行くと、ちょうど茅さんが入るタイミングだった。


「あら。二人とも。仲が良いのね」

「そう見えるならそう見えていいんですけれど。俺にとっては最悪の考えですかね」

「じゃあ嫌いなの?」

「どちらかというと年上の方が好みなので」


 茅さんみたいなポニーテールの美少女は、もう最高に好みなんですけれどね。口にしたら流石に怒られるというか引かれそうな気がする。

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