[4]-1
というわけで。俺たちは魔法研究同好会という胡散臭い名前の同好会を設立するになったわけだが、それにあたり、やはり学校の許可を得る必要があるというか、それが分かるようになるまで約半日の時間を要した次第だった。
何故俺がそれを知ったかというと、次の日に出逢った副島から開口一番こう告げられたからだ。
「ねえ、ボート! 大変なことが分かったの! どうやら、同好会を作るにも許可が必要らしいのよ!」
……そんなこと知ったことか。俺は半ば強制的にその同好会に入れさせられているし、そもそも入るということを言った覚えはない。寧ろそれで同好会が出来ないというのならば俺にとっては有難いことだった。
「知っていたのならば、どうして教えてくれないのかしらと拷問の刑に処する所だったけれど、どうやらあなたも知らなかったようね。剣呑剣呑」
「剣呑ってそういう時に使うワードだったっけ?」
「あのね、意味なんてどうだっていいの。そのときにどう使うかでワードの重要さってものは変わっていくのよ。魔法だってそうよ。魔法だって普通の言葉ではあまり重要視されないワードをたくさん、ふんだんに、あれやこれや、エトセトラエトセトラ、使用しているから気づかれることも少ないの。そう、それこそ、『普段の行い』に魔法を塗してしまえば、分からないでしょう?」
「ああ、そうかい。そうかよ。分かりきったことかもしれないけれど、俺は協力するとは一言も言っちゃあいないんだがな」
「え? なんて? 聞こえなかったのだけれど、もっと正確に話してくれないと分からないのだけれど」
「だ・か・ら! 俺は一度も協力するなんて……」
「あなたの『意思』なんて関係ないの」
はっきりと言い放たれた。
お前、俺の意思が関係ないというのなら、色々とおかしな話になってくるぞ。そもそも、関係ないというなら同好会も作らなくて良いという話に……。
「ならない」
心を読まれたかのように、はっきりと言い放ってきやがった。
「ならない。ならないわ。なるはずがないわ。同好会の場所を作って、同好会を作る動機を作って、同好会を作る人が揃っていて。その状態で同好会を作らない? 何故? どうして? 信じられない。信じたくない。信じるはずがない。信じようがない。信じられるわけがない。あなたは何も考えていないのかもしれないけれど、わたしはしっかりと考えているのよ。プランを。何のプランを? 同好会のプランを、よ」
捲し立てられて喋られているが、それでも俺の意思は変わるわけがない。
俺は絶対に同好会に入らな――。
「ほら、既に『入部届』も貰っているし」
………………何だと?