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「よくぞ聞いてくれました! わたしがやりたいこと、それは魔法書の奪還よ!!」
「奪還……って。魔法書を奪われたことは分かったにしても、手がかりとかあるのか?」
俺の言葉に、副島は自らの目を指さす。
「は?」
「目、よ。自らの目で見た情報をあなたたちに提供するわ。そしてわたしと一緒にあなたたちが探すの! それでどうにかなるんじゃあない?」
「ちょっと待って、副島さん。それって校内? 校外?」
「校内よ」
校内って、それってつまり犯人が校内に居る可能性があるってことかよ。
「可能性は否定出来ないわね。そして、その可能性をわたしも考えている。だからこそ、というか何というか。この場所をあまり信用できていないのよね。もしかしたら、わたしの魔法書を奪った犯人がわたしのことを監視しているのではないか。そして、わたしを殺そうとしているのでは無いか、ってことを」
「何故、そう判断する?」
「盗んだことを分かられた以上、分かった人間についてどうする?」
「ええと、口封じをする?」
「つまり、そういうことよ。口封じしてしまえば、誰かが盗んだという事実は消滅する。その魔法書は元々自分が持っていたのだという結論にたどり着いてしまう。はっきり言ってそれだけはどうにか回避しなくてはならない。それはわたしの目的であり、わたしの目標であり、わたしの決断でもある」
「……仮に、仮にだよ。もし見つけたら、お前はどうするつもりなんだ?」
「簡単よ」
そして、副島は一言で俺の疑問を捨て去った。
「どんなことをしてでも、取り返す。それはわたしにとって命の次に大事なモノだからね」
◇◇◇
しかしながら、手がかりが無ければ犯人を捜すことなんて難しいと言ってもいいだろう。だから結局、俺は魔法の講義を受けることになったのだ。何故そうなったか、って? 良いだろう、教えてやろう。どうやらこいつは魔法の先生になることを将来の目標としているらしく、その為には教員免許が必要らしい。要するに『武者修行』をすることが魔法の世界では大事らしいのだ。その為に、魔法の授業をしていこうと言うのが彼女の言い分だ。
ま、暇なことには変わりないし、そういうことに付き合っていくのは悪くないか。それにしてもこの年齢で既に進退を決めているのは何というかちゃんとしているのだな、と思う。こいつにしては、だが。
「それじゃあ、魔法について説明するわね。魔法には火、水、電気、大地、木の五つのエネルギーによって成立している。このエネルギーを『魔素』と呼んでいるわ」
「それ以外にエネルギーは無いのか?」
「無いわ。六つ目のエネルギーとして『無』を提言している人も居るけれど、証明が出来ていないから、結局五つのエネルギーだけで魔法は成立していると言われているの」




