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 図書室の準備室と言われている場所、そこが俺たちの部室と相成った。茅さんはほんとうに入部届にサインをしてくれていて、有難いやらおかしいやら。何故この同好会に入ろうと思ったのか、何度も聞きたくなってしまったが、それは本人の意思を尊重することにした。

 茅さんの入部届を確認した副島は「うん!」と笑みを浮かべたままそれをクリアファイルに入れて、


「これで三名の会員が揃ったから、正式に同好会として発足させることが出来るわね。いや、ほんとうに良かった。もし会員が集まらなかったら適当に人を入れようかと思ったけれど、同好会の内容が内容でしょう? だからあまり人が集まらないんじゃあないか、なんて思っちゃったこともあったけれど、案外人って集まるモノね」


 これも何というか無理矢理集めたほうじゃあないのか?


「何よ、何か言いたそうな口ぶりだけれど」


 おっ、もう『テレパシー』(一方的な)は通用しないようだ。なら存分に語らせて貰おうか。はっきり言って無駄だ、無駄。そんなことを無理矢理作り上げたような同好会なんて長続きするはずがない。


「……聞こえていないとは一言も言っていないけれど」

「何だと……!?」


 それは出来ることなら早々に言ってしまって貰いたかったことだが!?


「別に長々と続けるつもりはないわ。……だってこの同好会はわたしのプランによって構築されている場所だし。無理なら長々と続けずに『問題』が解決次第、解散したって構わない」

「……その問題って、何なんだよ?」

「あら、あなたには言わなかったっけ? ……盗まれたのよ、魔法書が」


 ……そう言われてみれば、そんなことを言っていたような気がする。言っていたような気がするだけに過ぎないけれど。


「魔法書は大事なものなの。魔法のやり方、魔法のあり方、魔法のシステム、魔法のコーディング方法、様々なものが書かれている。市販で売られているものなら、あまり気にしないけれど、祖母が書いた大事な魔法書なの。ほんとう、どうかしていたわ。普通なら学校に持って行かなきゃ良かったのに」

「なら、どうして学校に持ってきたんだ?」

「未だあの魔法書は、読み解けていない大事なことだらけなの! それに、魔法を様々な人に伝えるためには魔法書を見せることが一番だと思っていたしね!」


 なんというか……馬鹿馬鹿しい。

 そんなに大事なものなら持ち歩かなければ良いのに、どうして持ち歩いたのかということもあるけれど、むざむざと盗まれたモノを自分一人で救出しようとせず、他人に協力を仰ぐのが馬鹿馬鹿しい。巫山戯るな、その為に俺の大切な放課後は盗まれていくのか。


「あら? でも、あなた放課後暇なんでしょ? わざわざこんなところまでやってくるということは」

「……お人好しだと言ってくれ。正確には」


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