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93話 暴漢者の恋心!

「……ここは?」


 宿屋の俺の部屋へ【転移】したが、強制連行した為か混乱している。

 とりあえず、暴れられると困るので手足を縛る事とする。

 暴れているが、力の差があるので難なく縛ることが出来た。

 【鑑定眼】で確認すると、『サキュバス』だと判明した。

 ユニークスキルは【誘惑】だ

 サキュバスのユニークスキルだけど、種族全員が持っていそうなスキルだな。

 やはり、恩恵(ユニークスキル)とユニークスキルとは、似て非なるものなのか?


「お前、サキュバスか! 目的はなんだ!」

「貴方こそ、私の【誘惑】が効かないなんて何者なのよ!」

「俺はタクト、普通の人間だ!」

「嘘! 人族であれば【誘惑】が効く筈よ!」

「だってお前魅力ないもん」

「えっ!」


 急に、サキュバスが大人しくなった。


「とりあえず、目的を言え。 害がなければ殺しはしない」


 スキル【誘惑】が効かない事と、力では敵わないので観念したのか話始めた。

 名前は『ニーナ』と言い、たまたまこの街に寄って食事をしていたそうだ。


 この場合の食事とは『MP』を奪う事らしいな。


 すぐに立ち去ろうとしたが、噴水の前で陽気に踊っていると屋敷の主人に声を掛けられた。

 驚いてすぐにその場から消えたが、その後も気になりこの街に滞在している。

 滞在中に、人に変化しては夜遅く出歩いている酔っ払いの男達から死なない程度に『MP』を吸い取っている。


 リロイは声を掛けたなんて、言っていなかったよな?


「やはり、犯人はお前か!」

「『MP』貰う代わりに気持ち良い夢を見せてあげてるから、ギブアンドテイクってやつよ!」

「……酔っ払いに夢を見せても、多分朝には全く覚えていないと思うぞ」

「えっ、嘘!」

「今のお前は、冒険者を襲う暴漢という事になっているんだぞ!」

「なんで! ちゃんと事前に取引しているのに」

「だから、酔っ払いなんて覚えてないんだって」


 ニーナは、かなり落ち込んでいる。


「それで、お前の目的はなんだ!」


 ニーナは恥ずかしそうに、屋敷の主人と話をしたいと言った。

 毎晩寝室に行っては声掛けようと夜通し居るが、勇気が無く朝方に帰ってくるの繰り返しなので、自分でもどうしようか悩んでいたそうだ。


「お前、自分がサキュバスって知っているか?」

「あたりまえよ!」

「お前と同じ空間に居るだけで、『MP』減っていくんだよな?」

「あたりまえじゃないの!」

「その屋敷の主人は、無事だと思うのか?」

「あっ!」


 【淫術】は直接、体に触れれば短時間で『MP』を吸収出来るが、同じ空間に居るだけでも少しづつだが『MP』は、吸収出来る。


 先程魅力が無いと言ったが、ニーナは見た目はサキュバスだけあって、極上の美人だ。

 違いは、尻尾が生えている事位だろうが、獣人の居るこの世界では珍しくも無い。

 俺は【属性耐性】が作動している為か、スキルでの魅力には感じないのだろう。


「えっ、どうしよう! それじゃあの人の所にも行けないって事なの?」

「まぁ、お前が行けば行くほど、死に近づくな」


 ニーナは自分がしてきた行動が、迷惑を掛けていた事を始めて知ったようでショックを受けている。


「正直に話してくれたから、良い事を教えてやる。 あの屋敷の主人は、領主でリロイという名だ!」


 余りにも気の毒になり、屋敷の主人の情報を教えてやる。


「リロイ様か~! 名前も素敵!」


 恋する乙女の顔だ。

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