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930話 その後……‐3

 国王様たちとマリー様たち、ゾリアス様が、御主人様とユキノ様の眠る部屋に集まっていた。

 もちろん、私やクロさんに、アルシオーネ様とネロ様も同席している。

 国王様は今後の話について、マリー様やゾリアス様と話をされていた。

 国王様の顔は父親の顔から、完全に国王の顔になっていた。

 いつまでも悲しみに浸っていられないという覚悟を感じた。

 それはマリー様やゾリアス様も同様だった。

 御主人様の死を受け入れて、御主人様の死と向き合っている。


「宜しいでしょうか?」


 クロさんが話が一段落したと感じたのか、話にはいる。


「なんじゃ? タクトから伝え忘れていたことか?」

「そうとも違うとも、言い辛いですね。主とユキノ様の御遺体についてです」

「……タクトなりに考えがあったということか?」

「はい」


 この事は、私も聞いていた。

 肉体は燃やして、残った骨は粉々にして、空から撒いて欲しいと聞いていた。

 その役目は私とクロさんに託されている。

 伝えるのは、国王様たちとマリー様たち、そしてアルシオーネ様とネロ様の全員が揃った時と言われていた。

 だからクロさんが、このタイミングで話をしたのは自然な流れだと感じていた。


「そのような埋葬など……」


 国王様は驚いていたが、この世界の一部になりたいという御主人様とユキノ様の意思を尊重して頂いた。


 このまま、御主人様とユキノ様が亡くなったことを無視することは出来ないので、正式にエルドラード王国として、ユキノ様が亡くなったことを公表する。

 そして、御主人様の死も同様に公表することに決まった。

 その後、グランド通信社を含む各社に連絡をするそうだが、その窓口は四葉商会が仕切る。

 この件に関しては、特定の会社に偏った情報が無いようにということらしい。

 蘇生の影響と代償ということで、話をするつもりでまとまる。


 魔都ゴンドの住民たちには、先立って領主であるゾリアス様から報告される。

 その際に、アルシオーネ様とネロ様、国王様も同席されることになった。



 何事かと集まる人々。

 ゾリアス様の家は現在、建築中なので中央にある広場で話をさせる。

 突然、現れた国王様の姿に動揺する人々。

 御主人様がお世話になったシキブ様やムラサキ様の姿もあった。

 私がシキブ様やムラサキ様への事前報告をしなかった理由を聞いた際に、御主人様は妊婦であるシキブ様に気を使ったと教えてくれた。


「突然、集まってもらって申し訳ない」


 ゾリアス様が集まってくれた人たちに向かって叫んだ。


「実は……皆に悲しい報告をしなくてはならない」


 悲しい報告と聞いて、集まった人たちが、ざわつき始めた。

 国王様が同行しているから、色々なことを想像しているのだと推測できた。

 しかし、ゾリアス様の次の言葉で、自分たちが思っている以上のことが起きたのだと知る。


「先程……冒険者タクトと、奥様であり元第一王女のユキノ様が亡くなられた」


 ゾリアス様の思いもよらぬ言葉に、広場が凍り付く。


「妾から詳しい話をしよう」


 アルシオーネ様が御主人様とユキノ様が亡くなった経緯を話す。

 集まった人々は、誰も言葉を発することなく、アルシオーネ様の言葉に耳を傾けていた。

 アルシオーネ様の話が終わると、すすり泣く声が聞こえてきた。


 御主人様に助けられたドワーフ族や、コボルト族の戸惑いようは凄かった。

 恩人が亡くなったことに対して、何もしてあげられなかったことを悔やんでいるようにも思えた。

 シキブ様は泣き崩れていた。

 その横でムラサキ様と、友人であるイリア様がシキブ様を慰めていた。


 その後、国王様が正式に国として発表をすることを人々に伝えていた。

 エルドラード王国より先に、魔都ゴンドは御主人様とユキノ様の喪に服すこととなった――。

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