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914話 終活‐1!

 シロとクロがピンクーの再教育から戻ってきた。

 正確には一旦だが……。

 今後は交代で、教育をするそうだ。

 ユキノが就寝すると俺は毎夜、アルとネロと話をしていた。

 ピンクーの教育をしていない、シロかクロのどちらかには、就寝中のユキノを見てもらっている。


 ここ数日のユキノの衰弱振りには、アルもネロも心配していた。


「しかし、思っていたよりも早いの……」

「そうだな」


 以前にエリーヌの寿命ケージが、ユキノと変わらなかったことがあるが、それは俺と話をしたいモクレンの仕業だった。

 その時は、あと数年は大丈夫だと思っていたが、このままだと一年ほどだ。

 その事実に、俺とアルは少し戸惑っていた。


 俺たちはユキノの意思を尊重しながら、出来る限りのことはしたいと思っている。


「タクトよ。お主は寿命が尽きる前に、いろいろとすることもアルのではないか?」

「身辺整理ってやつだな……」

「ユキノと出来るだけ一緒に過ごしてやるが良い。妾たちに出来ることがあれば、代わりにやってやるのじゃ」

「そうなの~」

「あぁ、ありがとうな」


 俺は何を整理すればいいのかを考える。

 終活とは、こんな感じなのだろう。

 前世では、いきなり死んでしまったので終活することさえ考えていなかった。

 真っ先に頭に浮かんだのは『四葉商会』のことだった。

 マリーやフランたちは、俺が死ぬことを知らない。

 言えば、どれだけ怒られるかも分かっていたし、変に同情されるのも嫌だった。

 なにより、ユキノの寿命も知られることとなるので、黙っておきたい。


 四葉商会関連で『魔法研究所』が開発している物の進捗も気にはなっているが、俺が知恵を貸すことは無い。

 この世界(エクシズ)への影響が大きいため一度、神たちから忠告を受けている。


 それに『四葉孤児院』には、挨拶程度に顔を出すつもりだ。


 このゴンド以外に住んでいる知り合いにも会っておきたいが、どのような顔をして会えば良いのか分からずにいる。

 ルーカスたちユキノの親族や、魔法都市:ルンデンブルクの領主ダウザーたち家族にも、どのように知らせるかを悩んでいる。

 ユキノの病状が悪くなった時に伝えるのが良いのかも知れない。

 あまりに早く知ると、心配する時間が長くなってしまうからだ。


 防衛都市;ジークの領主であるリロイとニーナ。

 彼らには正直に話そうと思っている。

 口が堅いことは勿論だが、愛する人と添い遂げたいという俺の気持ちを理解してくれると思っているからだ。


 王都で冒険者として腕を磨いている狐人族のライラ。

 俺を「お兄ちゃん」と慕ってくれているので、それなりにショックを受けることは間違いない。

 顔を出して、世間話でもしてみようと思う。

 ライラは天才だが努力を怠らないので、間違いなく歴史に名を残すような冒険者になるだろう。


 魔族で言えば、アラクネ族にはアルとネロが伝えておくと、俺から言う前に発言してくれた。

 他に仲良くなったカストル山に住むスーノパパたちには一度、顔を出すつもりでいる。

 俺が死ぬことを端的に話すつもりでいるし、俺の死後はアルに伝えてくれるように頼んだ。

 その際に昔、アルがカストル山で暴れたことがあるので、暴れないようにと忠告して、俺の代わりに出来るだけ交流を持って欲しいことを伝える。

 ネロも協力してくれるそうなので、その時はアルとネロの二人でスーノパパたちを訪問してくれるそうだ。


 精霊たちとのこともある。

 これは個別に話をすれば良いのか、まとめて話をした方が良いのか分からない。

 もちろん、この世界(エクシズ)にある森の管理者たち樹精霊(ドライアド)も含めてだ――。


 俺にはこの世界(エクシズ)に来てから気になっていることが、ずっとあった。

 それは通貨。

 金貨しかないため、買い物には多くの金貨を必要とする。

 以前から金不足による問題は何度もあったが、問題は解決されていない。

 人々がより、快適に過ごせるように、この問題はどうにかしたいと考えているが、通貨を変更する難しさも知っているので、簡単なことではない。

 国王や大臣などが何度も議論する必要がある。

 俺がいる間には解決する問題ではないと分かっているが、心残りの一つだ。


 他にも、いろいろとあるが一つずつ確実に終わらせていこうと思う。

 まずは、簡単に片付くと思う精霊たちと話してみよう。

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