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874話 セイランとの約束ー1!

 アスランとユキノを王都に送り届けると、俺は再びルグーレに戻ってきた。

 コンテツとモエギにセイランの三人を、シキブの故郷に送り届けるためだ。


 コンテツとモエギは、シキブの両親に手ぶらで会いに行くのも問題なのでと、手土産を用意していた。

 ルグーレでは物資が不足しているので、たいした品ではないと言っていたが、状況が状況なので仕方がないだろう。


「私との約束を忘れないでよ」

「分かっている」


 アスランとユキノの話を聞いて、「約束」という言葉の意味が俺の中で、一段と重く感じるようになった。


 シロとクロ、ピンクーには引き続きルグーレや他の町などの調査と、町によって物資に余裕があれば物資の買い付けもを頼む。

 今回は三人で街の様子を確認して貰う。

 クロはマリーから連絡があり次第、マリーを迎えに行ってもらうので、その時だけ一旦別行動となる。


 俺はコンテツたちに忘れ物がないかを確認してから、シキブの故郷近くに【転移】した。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 セイランがムラサキと【交信】をして、近くまで来ていることを伝える。

 俺たちはシキブの故郷へと足を進める。

 すぐに村らしきものが目に入る。

 そして、遠目でもムラサキだと分かる男が村の入口に立っていた。

 周囲に数人の鬼人族もいる。

 鬼人の村の村長や、シキブの両親たちなのだろう。


 ムラサキがコンテツやモエギに声をかける。

 まずコンテツたち三人と俺を村の人たちに紹介する。

 そして集まっていた人たちを俺たちに紹介してくれた。

 やはり村長とシキブの両親たちだった。

 シキブは実家で待っているそうだ。

 お互いが緊張をしながら会話をしていた。

 前世でも、こういった経験がないので、これが普通なのかさえも俺には分からない。

 ただ、お互いを尊重していることは、見ていて分かった。


 俺は部外者なので、ここで別れるつもりだが――。


「俺はここまでだな」


 ムラサキたちに送迎役を終えたことを伝える。


「悪かったな」


 ムラサキが俺に礼を言うと、コンテツがムラサキの頭を叩く。


「ムラサキ‼ お前のことだから、タクトに迷惑かけているんだろう。今回のことも、タクトの頼ったようだが、一人前の男なら人に頼らずに自分で動け‼」


 コンテツはムラサキを叱る。

 隣にいたモエギも同意見なのか、優しい言葉だったがムラサキを叱っていた。

 俺の目には、嫁の両親がいる前で叱られるムラサキが、とても可哀そうに映った。

 ムラサキも、コンテツとモエギに言われて自覚したのか、少し項垂れていた。

 セイランは客観的な目で家族を見ながら、両親に注意をしていた。

 シキブの両親も笑っていたので、鬼人族というにはこういう種族なのかも知れないと、俺は思うことにした。


 一段落した段階ようなので、俺はセイランに向かって約束を果たすことを伝えることにした。


「セイラン。俺は帰るから約束の件、今からでもいいか?」

「もちろんよ‼」


 セイランは嬉しそうに答える。


「それなら、俺も観戦する」


 ムラサキが俺とセイランの戦いを観戦するというと、コンテツやモエギも興味があるのか、同じように観戦すると言い始めた。

 当然、シキブの両親も観戦を希望して、家にいるシキブはもちろん、村の者たちにも声をかけるという大事に発展していた。

 俺のことは既に村の人たちには知られていたようなので、どちらかといえば好戦的な種族である鬼人族の血が騒ぐのだろう。

 セイランを見ると、騒ぎを気にすることなく戦いに備えて準備運動をしていた。

 俺と目線があう。


「タクトは準備運動しなくていいの?」

「あぁ、戦いを想定すれば準備運動をすることはないからな」

「……たしかに、そうね」


 俺の言葉に、セイランも準備運動を止める。

 冒険するのであれば、いつ何時襲われるか分からない。

 準備などできる筈がない――。

 俺は、この世界で感じたことを口にしただけだが、セイランには考えを改めるほどに、衝撃的な言葉だったようだ。


 セイランとの短い会話を終えると、村の前には大勢の鬼人族が集合していた。

 シキブが最前列で座っていた。


 村人たちへの影響も考えて、【念話】を使ってムラサキに侵入禁止の線を引いてもらう。

 この線から入ったら、なにがあっても責任を負えないと伝えてもらった。

 魔法は使わずに肉弾戦になると思うが、俺はその線に沿って【結界】を張る。


「じゃあ、始めるか⁈」

「最初から全力でいきますよ‼」

「あぁ、かかってこい!」


 俺とセイランの手合わせが始まった‼

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