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86話 ロードの条件!

 続いて、オーク襲撃の事も聞いてみる。


「オーク倒した時に、変わった奴とか居なかったか?」

「いなかったぞ?」

「いなかったの~!」

「なぜ、そんなことを聞くのじゃ?」

「あぁ、倒したオークの中に『オークロード』になる可能性の奴が居なかったかを、確認をしたかっただけだ」

「なんだ、そんな事か。 今回は西の『常世の渓谷』に出現するから違うぞ」


 この言葉に飛びついたのが、シキブだった!


「ロードの出現位置が分かるのですか!」

「あぁ、簡単じゃぞ」


 アルの話だと、ロードというのはその種族から魔王候補を選出した結果で、種族の魔力を四年~七年程強制的に貯めて、その魔力が適任者を選ぶとロードになる。

 ただし、魔力が適任者の身体へ完全に馴染むまでは数ヶ月から数年必要な為、ロードになる前に倒されることも多々あるらしい。

 ゴブリンや、オークはそれなりに知力がある為、他の種族よりもロードになる確率が高い。

 たまに発見される亜種は、その種族のロード候補だそうだ。

 魔力が集まる為、時期的に魔力が大きくなっていく場所と魔力の大きさを確認すれば、大体推測出来る。

 集まる魔力の質も、本来のものと異なるので、スグに分かるらしい。


 たしかに、大量虐殺などをして恐怖を植え付けさせれば、魔王になる可能性はある。

 以前にアルから聞いた魔王の定義だな。


 但し、ロードになったからといっても、強さを誇示する為に人族を襲わずに、魔物を襲う者もいるそうだ。

 大型種と言われる魔物に多いらしい。


「タクトにも、そろそろ出来ると思うぞ」

「何がだ?」

「【魔眼】で魔力の流れが分かるのじゃ! 魔力や気の流れで死期を見るからの。 欠点は馴染むのに時間が掛かることじゃな」

「そうなのか……」


 喜んでいいのか、よく分からんな!


「しかしアル、お前物知りだな」

「ふん! 伊達に永く魔王をしておらんわ」

「それくらい、ネロも知ってるの~」

「おぉ、ネロも凄いな!」

「へへへ~」


 褒美にふたりの頭を撫でてやる。


「人族が長年研究していたことが、あっという間に解決とは面白い!」


 ローラは、研究者としての血が騒いでいるのか興奮気味だ!

 対照的に、シキブは落ち込んでいる……


「迷いの森にもゴブリンロードが出現する筈じゃったが、多分タクトが倒したのじゃろうな」

「何故、俺だと思う?」

「あの森で、倒せるのはタクトくらいしか居ないじゃろ?」

「確かにそうだが……」

「師匠は、無敵なの~! この世界で一番強いの~!」


 ネロの相槌が、俺をバケモノ扱いへと進化させていく気がする……

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