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822話 神たちの解釈-1!

 俺たちは、礼を言ってくれる人たちに軽く頭を下げて、【飛行】で城へと戻ろうとする。

 空を飛ぶことで、歓声が上がっていた。

 【飛行】のスキルは珍しいということも、あるのだろう。

 俺は下を見ることなく、そのまま城へと向かった。

 人々から、何かを期待されるような眼差しに耐えられなかった。

 俺は人族最大の敵である魔王だ。

 何故、そんな目で俺を見ることが出来るのだろうか?

 今迄とは、何かが違う――。

 何度も感じていた違和感が増していた。

 城に到着する瞬間、景色が変わる。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 目の前には、ヒイラギにモクレン、エリーヌの神三人が居る。


「なんじゃ?」


 俺はその声に反応して、振り向く。


「アルにネロ……」


 俺だけでなく、アルとネロも一緒だ。

 これは【神との対話】では無い。

 もし、【神との対話】であれば、アルとネロを連れて来ることは出来ない筈だ。


「アルシオーネにネロですね」

「お主は誰じゃ?」


 アルは相手が神だと薄々は気付いているだろうが、媚びることなく会話を続けた。


「私の名はヒイラギ。一応、上級神です」


 ヒイラギは自己紹介をすると、モクレンに視線を送る。


「私は中級神のモクレンです。一度だけ、会話をしたことがありますね」

「あぁ、ガルプと一緒に第五柱魔王と、第六柱魔王を倒してくれ‼ と、言った時におった神じゃな」

「えぇ、その通りです」


 モクレンが答えると、暫く無言の時間が続いた。


「あっ、あの――エクシズの担当神をしているエリーヌです‼」


 沈黙に耐えきれなくなったのか、それとも自分だけ自己紹介していない負い目からか、エリーヌが口を開いた。


「ほぉ~、お主がタクトの崇める神か‼」

「師匠の神なの~!」


 アルとネロはエリーヌを見ると、俺の方を向き微笑する。

 その笑いはなんだ? 俺は思わず顔を歪めた。


「それで、私だけでなくアルとネロを一緒に呼んだのは、どうしてですか?」


 俺はヒイラギに質問をする。


「……なんじゃ、タクト。その変な喋り方は?」

「師匠~、変なの~」


 ヒイラギが答える前に、アルとネロに話し掛けられる。


「あぁ~、これが本当の話し方かな? エクシズでは【呪詛】の関係で、あんな話し方しか出来ないんだ」

「お主らしくないの。気持ち悪いのじゃ」

「師匠じゃないの~。いつもの話し方がいいの~」


 アルとネロの二人から、散々なことを言われる……。

 その後も、一方的に話し方について批難される。


「……いいですか?」


 神たちを放っておいて、三人だけで話していた為、見かねたヒイラギが俺たちの会話を止める。


「あっ、すいません。どうぞ」


 騒ぐアルとネロを宥めて、ヒイラギに答える。


「ありがとうございます。では、まずアルシオーネにネロの二人に対して、ガルプ及びアデムの件について、同じ神としてお詫びをさせて頂きます」


 ヒイラギが頭を下げると、モクレンとエリーヌも頭を下げた。

 俺に謝罪をした時と同じだった。


「詳しい話は、タクトから聞いていますか?」


 アルとネロは俺を見る。


「いいえ、アルとネロには詳しい話はしていません」

「そうですか。では、私から詳しく話をさせて頂きます」


 ヒイラギは自らの口で、アデムとガルプが起こした事件のことを話す。

 それだけでなく、アデムがガルプを使い、かなり昔から計画的に実験をおこなっていた事を話すが、アルとネロの心には響いていないのか、自分のことなのに他人事のように聞いている感じがした。

 一通り、話を聞いたアルとネロだった。


「ロッソや、セフィーロは生き返らせることは出来んのか?」

「申し訳ありませんが無理です」

「神とやらは何でも出来るのじゃろう?」

「神でも無理なことがあるのです」

「勝手じゃの‼」


 既に答えが分かっていたのか、追及することなかった。

 隣のネロは、セフィーロが生き返らないと知ると落ち込んだのか、寂しそうな表情を浮かべていた。


 結局、ヒイラギたちは、アデムとガルプの被害者であるアルとネロに直接、謝罪をすると思ったのだろう。

 アルとネロは長年の間、アデムとガルプの実験体としてエクシズで観察されていたのだろう。

 何か目的があったかもしれないが、アデムがそれを話すとは思わないし、害のない程度に放置していたことも考えられる。

 結局は、ガルプの一言で機能停止という疑似死のような状態になったことは間違いないのだから――。

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