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795話 王都襲撃-17!

 地上では、騎士団と冒険者が魔物相手に善戦している。

 しかし、中途半端に倒したりすると、アンデッドとして復活をする。

 人族も死ねばアンデッドとなる為、元仲間を攻撃することに躊躇えば、躊躇なく攻撃されてしまう。

 善戦しているとはいえ、死体が増えれば増える程、人族は不利になる。

 俺はクロに連絡をして、戦闘に復帰して貰う。

 クロには、アンデッド討伐と、殺した魔物をアンデッドにならないように確認したうえで処理をして貰う。

 クロ自身、今回の戦闘で不甲斐ないと思っている節があるようだった。

 シロも王族の護衛だけなので、俺の役に立ちたいと思っているようだったが、王族の護衛の重要性を知っているためか、意見を口にすることは無かった。


「本当に、お前は邪魔だな」

「俺には、お前の方が邪魔だけどな」


 俺はガルプを睨み付ける。


「もう一段階か――」


 小声で呟くガルプの言葉を俺は聞き逃さなかった。


「何が、もう一段階なんだ?」

「お前には関係ない」 


 ガルプは大きく息を吸うと、口から大きく叫ぶ。

 叫び声に大気が震えた。

 不敵な笑みを浮かべるガルプ。

 俺は【神眼】を使うと、ガルプに何か光のようなものが集まっている。

 魔素であれば、【神眼】を使わずとも見ることが出来る。

 だとすれば、今見ているのは何だ……。


 ――まさか!

 俺は光の先を見る。

 地上ではアンデッドは、次々と倒れ始めていた。

 いや、それだけでなく魔物も数体干からびている。


「仲間を犠牲にしているのか⁉」


 俺はガルプに向かって叫ぶ。


「仲間? 何を言っている。あれは、道具だ」


 ガルプは失笑していた。

 【神眼】を使ったことで、ガルプの魔力の流れが分かるようになった。

 アルの助言を思い出し、アルに感謝する。


 魔力の中心を確認するように攻撃をする。

 腕に魔力の流れが強くなると、腕の攻撃だと分かるので、避ける事が可能だ。

 肉弾戦であれば、反撃することも容易い。

 しかし、光が集まると弱まった箇所の魔力の流れが元に戻る。


「くっ! 急に動きが変わったが――」


 ガルプは突然、自分が攻撃を受け始めたことを冷静に分析していた。

 先程、ガルプが言った「もう一段階」というのは、肉体的強化のことを言っているのだろうか?

 この光――多分、魂のようなものだろう。

 魂を媒体に、なにかするつもりなのだろうか……。

 俺は攻撃する際に、僅かに傷つけた箇所で【操血】を使うと、ガルプの血でも操ることが出来た。

 しかし、ガルプにすぐ気付かれて、噴き出す血を分断されてしまう。

 明らかに焦った様子だった。

 攻撃に【操血】を使用すると、ガルプもむやみに攻撃を仕掛けてくることは無かった。

 しかし、俺は攻撃の手を休めることなく、ガルプに攻撃をする。

 徐々にガルプに対して、深く傷つけることに気付く。

 血液も液体なので、ガルプの血液を【操血】で無理やり体から出血させるように引き出すと同時に、【雷撃】を使う。


「――っ!」


 小さく、そして俺に気付かれないように悲鳴をあげていた。

 俺は確信する。

 魔法系のスキルを使えず、肉体的強化のみで戦っているガルプにとっては効果的だった。

 ガルプは、この攻撃を警戒してか、距離を取った。

 俺は【転移】を使い、ガルプとの距離を詰めて【操血】と【雷撃】でダメージを与える。

 先程までと違い、思うような戦闘が出来ないガルプは苛立っている。


「道具如きが俺に、ここまでの傷を負わせるとは!」


 息遣いも荒く、負け惜しみのように叫ぶガルプ。

 そんなガルプに俺は余裕の表情で言葉を返す。


「お前が、道具以下の存在なんだろう」


 この言葉に、ガルプは怒る。

 しかし、【操血】【雷撃】の攻撃を防ぐことは出来ず。

 ダメージを蓄積させていく。


「くそーーーーーーっ!」


 苛立ちが最高潮に達したのか、ガルプは大声で叫ぶ。

 その叫び声は、王都にまで届いただろう。


 しかし、俺はガルプに勝利出来る確信があった。

 【操血】で、ガルプの心臓を触った感触を得ていた。


「これで、終わりだ!」


 俺は【転送】を使い、右手にガルプの心臓を掴んだ。


「そ、それは――っ!」

「お前の心臓だ‼」


 俺は心臓を握り潰すと、ガルプの目から光は消えた。

 同時に、俺とガルプを繋げていた【光縛鎖】が消えた。

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