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794話 王都襲撃-16!

「ネロよ。悪いが妾も参戦するぞ」

「分かったの~!」

「三体一か! まぁ、実力的に仕方が無い……その前に!」


 ガルプが指を動かすと、ネロに攻撃を仕掛けていた吸血鬼族が血を吐く。


「……死んでおる」


 アルが絶命したことを伝える。


「使えない駒は必要ないか――」


 言い終わる前にネロが、ガルプの顔面に拳を入れる。

 アルも加わり、一方的にガルプを攻撃していた。

 俺も加わろうとした瞬間に、アルとネロが苦しみだす。


「俺の作品の分際で、いつまでも調子に乗っているんじゃねぇぞーーーー‼」


 ガルプが、アルとネロを吹き飛ばす。


「もういい。お前らは使えると思ったが、代わりを作ることにする。廃棄だ!」


 憤怒の表情で、荒い息を吐く。


「ぐっ!」

「――っ!」


 アルとネロが苦しみだす。


「お前らは用済みだ!」


 ガルプが叫ぶと、アルとネロは糸の切れたかのように地面へと落下していく。


「アリエル!」


 俺はアリエルの名を叫ぶと、アリエルは二人を風で受け止めてくれた。

 そして、アリエルは首を横に振る。


「……何をした!」

「管理者として、不要な物を廃棄しただけだ。本当であれば、もう少し使う予定だったんだが仕方ない」

「お前は、もう神では無いのだろう。なのに……どうして、管理者権限を使える」

「それは、お前が知る必要はない。我らが作り出した下等生物が、神に逆らうなど片腹痛いわ‼」

「お前も神じゃないだろう!」

「――確かに今は、そうだな」


 管理者としての権限を行使したのか?

 もしそうだとすれば所詮、俺たちの命も神の指先一つで奪われるということだ。

 最強魔王のアルとネロも同じだった。

 俺が今、戦っていることは果たして意味があるのだろうか?

 もし、俺がこの戦いに勝利したとしても、神の意向に沿わなければ、神の気分一つで、何人かの命が奪われることになるのかも知れない。

 しかし、神の管理者権限を発動させることが出来るのであれば、今迄の魔王たちも簡単に処分出来たはずだ……。


「戦いの最中に考え事か⁉」

「しまっ――」


 一瞬の隙をつかれて、ガルプからの攻撃を受ける。

 俺は体から流れ出た血を【操血】で糸状にすると、ガルプの表情が一変する。


「……何故、お前が吸血鬼族のスキルを使える⁉」

「お前に言う必要があるのか?」


 ガルプが警戒しているのが、良く分かる。

 やはり、ガルプにとって【操血】は注意するスキルなのだろう。


「お前の相手は、こいつにして貰うか」

「こいつ?」


 地上からの殺気を感じると、俺に体当たりの攻撃を仕掛けて来る奴がいた。

 その正体は、セフィーロだった。


「……アンデッドにしたのか?」

「せっかく、使える駒が増えたのだから、使わない手は無いだろう」

「くそっ‼」


 俺の頭の中に、最悪の状況が浮かんだ。

 そう、アルとネロをアンデッドとして、ガルプに使われることだ。

 流石に三人相手は厳しいし、王都を攻撃されたら対応出来ない。

 徐々に追い詰められている気分だった。

 

 しかし何故、アルとネロをアンデッドとして俺に攻撃を仕掛けることをしないのだ?

 最悪の状況を浮かべながらも、疑問を感じた。

 ガルプは、なにか別の意図でもあるのか?


 考えながらセフィーロとの戦闘をするが、ガルプは楽しそうに戦闘を見ていた。

 いや、見ているというよりも俺を分析しているかのようだった。

 俺を警戒したうえで、安全に戦う為に戦力を先確認しているのだろうか?

 事前に戦闘の準備をしていたことといい、ガルプは決して無謀な戦いをしないタイプのようだ。


 アンデッドになったとはいえ、セフィーロは強かった。

 生前の記憶があるのか、主に【操血】で攻撃を仕掛けてきた。

 しかし、自分の体に残っている血液の量を把握することもなく、【操血】を使用した為、血液が無くなったことに気付かず、無様で意味のない攻撃を繰り返した。


「悪いな――」


 俺はセフィーロに断るように呟く。


「安らかに眠ってくれ」


 セフィーロに止めを刺す。


「思ったよりも、あっさりと止めを刺すんだな」

「あれは既に、セフィーロじゃない。死者を愚弄しているお前には分からないだろう」

「死者を愚弄? なにを言っている。死んで尚、使ってやっているんだから感謝して貰うべきだろう」


 これが元とはいえ、神の考えなのか――。

 ポンコツとはいえエリーヌと同じ神だったのかと思うと、何故かエリーヌを侮辱された気持ちになった。

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