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78話 疾風の鬼姫!

「スゲェな! 一面全てシキブじゃねぇか!」


 ギルド会館で、イリアから新聞を見せて貰う。


 結婚式翌日の新聞は、一面にシキブの花嫁姿が載っていた。

 ローラが撮った写真だ!

 見出しも面白く、『鬼姫結婚! とうとう鬼嫁になる!』

 この世界では、前世の鬼嫁という言葉の意味は無い。


 シキブは女性冒険者の人気ランキングで、毎年上位に入っていたらしい。

 知らなかったが、『疾風の鬼姫』と呼ばれて有名人だそうだ。

 その鬼姫シキブの結婚。

 そして今までになかった『結婚式』という儀式。

 ニュースとしては、申し分ないみたいだ。

 しかも、シキブの花嫁姿は美しく撮れている。

 結婚式の内容も、良く書かれている。

 誰もが結婚式を、挙げたくなるような文章だ。

 ただ、細かい内容までは書かれていない。

 ギルドメンバーの証言も載っている為、想像が膨らむ感じになっている。

 気になるのは、最後に『四葉商会』が結婚式を取り仕切っていると、書かれている事くらいか。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 朝からシキブとムラサキには、連絡が入りっぱなしのようだ。

 お祝いの連絡が大半みたいだが、他にも関係の無い連絡まであるようだ。

 特にシキブは、装備のモデル依頼まで入っていると、イリアが言っていた。

 確かにあの写真を見れば、依頼もしたくなるのも分かる。


 『四葉商会』も注目の的になっているが連絡先が分からない為、シキブとムラサキに連絡があるらしい。

 ……色々と迷惑掛けてスマン。


「来ていたのか」


 ローラが、階段上から声を掛けてきた。


「あぁ、ローラの写真も好評だな!」

「当たり前だ、研究の際に何枚も撮っているからな」

「そうだな」

「新聞社からも、さっきの段階で売り上げが三倍だと礼を言われたぞ」

「シキブのおかげだな」

「たしかにな、それと『四葉商会』の問い合わせがかなりあるみたいだ」

「今はそれどころじゃないんだけどな……」


 一応、『四葉商会』の名はこれで知られる事になった。

 暫くは商売うんぬんよりも、スキル値を貯める事を優先にしないと死ぬ可能性があるので、何もしないでおこう。

 逆にその方がミステリアスっぽいので良いかもしれない。

 特に、これといった商売をする訳でもないしな……


「タクト~」


 シキブも上から下りて来た。

 酷く疲れきっている様子だ。


「……よう!」


 とりあえず、挨拶をする。


「もう駄目、疲れた……」


 シキブが弱音を吐いている。

 先ほど聞いたとおり、引切り無しに連絡が入っているそうで、ギルド本部にはこの件に関しては連絡しないように伝えると、少しは減ったそうだ。


「昨日は天国、今日は地獄って感じよ」

「それは、スマン」

「本当に、タクトが動くとトラブルも一緒に着いて来るみたいだわ」

「そうか?」

「たしかにそうですね」


 イリアもシキブに同調する。


 全面否定しようと思ったが、シキブの顔を見ていたらとても言えそうに無かった……

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