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787話 王都襲撃-9!

「続きを始めますかね」


 プルガリスは腕を二本から四本へと増やす。

 背中には黒い翼が出現した。


「……器用だな」

「褒めて頂き、ありがとうございます」


 相変わらず余裕の表情だ。


「では、【闇包球(やみほうきゅう)】!」


 四本の腕から、先程よりも大きな黒い球が出る。

 いや、よく見ると球の中で渦を巻いているように動いている。

 しかも、さっきは確認出来なかったが今回、魔法発動する為の詠唱はしていない。

 俺と同じ無詠唱だが、魔法名をはっきりと口にした。


「これも防げますかね」


 四本の腕から一斉に【闇包球】が俺に一つ、そして王都の方に三つ向かった。

 俺は【闇包球】を右手で弾き返そうとすると、右手が【闇包球】に飲み込まれた。

 同時に【闇包球】が爆発した。

 俺は爆発の勢いで、少し態勢を崩す。

 右手【自己再生】で元に戻ろうと再生中だ。


 王都の方で大きな爆発音がなる。

 そして、俺が張った【結界】が壊されたことが分かった。


「おぉーーー、右手も再生するのですね。見てますか、人族の皆さん!」


 ……何故、【魔法反射(二倍)】が発動しなかった。

 どうして、簡単に【結界】を破壊された。

 冷静さを装いながら、思考速度を上げる。


 次に王都に向けて、あの攻撃を放たれたら防ぎようがない。


(主。申し訳ありません)

(大丈夫か、クロ?)

(はい。私を含めて騎士団の方々にも死者は出ていませんが……)


 クロの言葉が詰まる。


(戦える状態では無いってことか?)

(本当に申し訳御座いません)

(気にしなくていい。全員、王都へ避難してくれ。クロもシロの治療をもう一度、受けて王都の護衛をしてくれ)

(承知致しました。主も気を付けて下さい)

(ありがとう。クロも無理させて悪かったな)


 クロの姿を見なくても、騎士団を守るためにクロが体を張ったことは、なんとなく分かった。


「さて、これも防げますかね。【闇包球】!」


 プルガリスの使う【闇包球】だが、ブラックホールのように触れた物質を取り込み、取り込んだ物質を媒介にして爆発する仕組みのようだ。

 理解したので俺も使えるかと思い、ステータスを確認するが【闇包球】の表示はあるが習得出来ていなかった。

 情報不足ということらしい。

 四本の手のひらに先程同様に【闇包球】が形成され、王都に向けて放出された。


「これでお終いです」

「――まだだ‼」


 俺は【分身】を三体作り、【闇包球】に突撃させる。

 四肢の一部を【闇包球】に取り込まれて、爆発を起こす。

 今の王都には【結界】が張られていない。

 被害が出るかと思ったが、アリエルが風を使い上手く回避してくれたようだ。


「何を手こずっている」


 アリエルは不甲斐ない俺に活を入れる。


「悪い。あいつが、思ったより強いんでな――」


 アリエルも俺が王都を守りながら戦っていることは感じているので、俺の負担を少しでも減らそうとしてくれているのだろう。


「そうでしたね。貴方は【分身】も使えるのでしたね」


 知っていた筈なのに、プルガリスは白々しく話す。


「冒険者タクト。貴方、本当に人間族なのですか?」


 ――どうやら、プルガリスの意図は王都いや、世界の人族から孤立させたいようだ。

 つまり、俺を人族の脅威、敵と認識させたいのだろう。

 俺はその間に、王都に【結界】を張る。


「遅いですよ」


 俺が【結界】を張ったことに気付いたプルガリス。

 しかし、その口調は相変わらず勝ち誇っていた。


(御主人様。王都の街に魔物が侵入しました。数は数十匹かと思われます)

(冒険者だけで、対処出来そうか?)

(少し、難しいかと――私が行きましょうか?)

(……いや、シロは国王の護衛をしていてくれ。国王の警備を手薄にするのが狙いかも知れない)

(分かりました。それと、クロさんは暫く、戦力にはならないかと――)

(そんなに酷いのか!)

(私の能力では治しきれません。命には別条はありませんので、御安心下さい)

(……分かった。クロには戦わず、影に潜るよう伝えてくれ)

(はい)


 俺は【分身】三体を王都内に【転移】させて、王都内に侵入した魔物を討伐することにした。


「なかなか楽しませてくれますね」

「……何がだ」


 先程以上の笑みを浮かべると、プルガリスが声を上げて天より響く。


「王都に住む人族よ。その冒険者タクトを殺せば、私たちは王都への攻撃を止めてあげてもいいですよ」


 俺は余裕な態度でいるプルガリスの近くに【転移】して、【魔法創製】で新しく作った魔法【光縛鎖(ひかりばくさ)】を発動させた。


「……なんですか、これは⁉」

「俺の新しい魔法スキルだ。どちらかが死ぬまで、その光の鎖が切れることは無い」

「――成程。不死のスキルいや、【自動再生】のスキルを持つ貴方に分があるということですか。しかし、私が逃げれば問題ありませんね」

「残念だな。その鎖は一定の距離以上、二人が離れることが出来ない。つまり、逃げることは不可能だ。そう例え、影の中だろうがな」

「ほぅ、貴方も私同様に対策をしていたのですね」


 プルガリスは思惑通りに進まなかったのか、不快な表情を浮かべた。

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