表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

786/942

785話 王都襲撃-7!

「なぜ、エビルドラゴンがいる!」

「さっきも言ったでしょうが。事前準備ですよ」


 自分の思惑通りにことが運ぶことに満足しているかのように、嬉しそうな口調で答える。

 影の中にいたのであれば、アルが必死で探しても見つからない筈だ。

 しかし、アルであればエビルドラゴンの気配に気付くはずだ。

 必ず、この場に来ると信じている。


「そのエビルドラゴンが、お前の切り札か⁉」

「さぁ、どうですかね」


 相変わらず不敵な笑みを崩さずにいる。


「もう、これ以上の諜報活動は不要ですし、回収しますか」


 プルガリスは何か呟くと、両隣に人族が二人現れた。

 気を失っているようだが、俺は二人を知っている。

 右側にいるのは、オーフェン帝国の鑑定士コルサ。

 そして、左側にいるのは……エルドラード王国護衛衆の一人、王宮鑑定士のターセルだ。

 王宮で国王であるルーカスの側にいたのであれば、俺の【結界】の効果があるはずだ。

 ターセルは魔族では無い……。

 俺のスキル【転送】に似たスキルを使ったのだと推測する。


「いいですね。その驚きの表情は!」

「……二人とも、お前の仲間だったという訳か⁉」

「私は優しいので、特別に教えてあげましょう。何故、この二人が通常よりも鑑定能力に優れていたか、疑問に思った事はありませんか?」


 確かにターセルの鑑定能力は優れていたが、スキルのせいだと納得していた部分はある。


「私が力を与えていたからですよ」

「……」

「まぁ、二人とも私に力を貰っていた事など知りませんけどね。私は鑑定した内容を、自動的に認識していましたがね」


 二人とも、プルガリスの仲間だという認識が無かったようだ。


「まぁ、色々な情報が手に入って、面白かったですがね」


 どうやって、鑑定能力を上げていたかや、一方的に情報を得ていた事などは気になったが、今はそれどころではない。


「おっと、お客様のようですね」


 プルガリスが俺の横に目線を移す。


「どういうことじゃ……」

「アルか。プルガリスがエビルドラゴンを解放して、影の中に閉じ込めていたようだ」

「そういうことか……どれだけ探しても、見つからんわけじゃ」


 アルは俺との会話中もエビルドラゴンから目線を外さなかった。

 冷静を取り繕ってはいるが、言葉から怒りが滲み出ていた。


「それと、お主に伝言がある」

「なんだ?」

「ネロは、こちらには来れん。母親と戦っておる」

「セフィーロとネロがか! なんでだ⁉」

「妾も詳しい事情は分からぬが、エビルドラゴンの気配を感じて、ネロから連絡を貰ったが、セフィーロがこちらに来るネロを妨害しているらしい」

「何故、セフィーロが……」


 俺は考えようとすると、プルガリスの顔に目がいく。


「……お前の仕業か⁉」

「えぇ、そうですよ。今回の戦いには吸血鬼族には辞退して貰いましたからね」

「事前交渉したということか」

「その通りです。セフィーロ殿には、それなりの情報を提供しましたからね」


 遠く離れた地で、親子喧嘩しているとは考えもしなかった。

 死ぬことは無いが、ネロがセフィーロに対して、どこまで戦えるか……。


「さてと――」


 プルガリスは一言喋ると、ターセルとコルサの首を刎ねた。


「彼らは用済みですからね」


 嬉しそうに笑うと、二人の死体は地面に叩きつけられた。

 助ける間もないくらいに、プルガリスの動きは早かった。


「うぉぉぉぉぉぉ――‼」


 エビルドラゴンの咆哮が響く。


「さて、戦闘再開しましょうか」

「忘れるな、お前の相手は俺だ」

「勿論ですよ」


 俺とプルガリスは、お互いに目線を合わせる。


「アル。エビルドラゴン……いや、先代グランニールとの約束は守ってやれよ」

「……分かっておる。手出し無用じゃ」


 エビルドラゴンは再度、咆哮を上げて飛び立つと、上空から王都に向けて炎を吐く。

 それに反応するかのように、アルがエビルドラゴンと王都の間に移動して、

炎の軌道を逸らして阻止した。


「こやつの相手は、任せておけ。お主は、あやつの相手に専念しろ」

「分かった」


 俺はアルと、お互いの健闘をいの


「主。戻りました」


 クロがシロの治療を終えて、戻って来た。


「大丈夫なのか?」

「はい。同族の不始末は、同族が取らねばなりません」


 クロなりに決意があるようだ。


「死ぬことは俺が許さないからな」

「承知致しました」


 クロが死ぬ覚悟を決めていたのであれば、それを許すつもりは無いので言葉に出す。

 誰一人、これ以上死なせるわけにはいかない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ