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779話 王都襲撃-1!

 ――空気が変わる。

 誰もが、魔物の方に顔を向ける。

 囲まれている為、騎士たちが見た方向は異なっていたが、その視線の先には土煙。

 地響きと共に、魔物たちの姿が大きくなっていく。


「各隊、陣形を組み対応せよ‼」


 ソディックが大声で、騎士団に指示を出す。

 魔物たちが進行する音でかき消されることなく、騎士たちにソディックの声が届いたのか、騎士団は移動を始めた。


(【結界】を張っておくか……)


 俺は王都全体に【結界】を張る。

 これで、王都に魔物が入ることは出来ない。

 当然だが、シロにクロ、ピンクーは俺の従者なので影響を受けることは無い。

 グラマスのジラールに【交信】で連絡を取る。


「タクトか‼ 悪いが今、それどころじゃなくて――」

「王都に魔物が押し寄せてきているんだろう」

「あぁ、そうだ」

「俺もさっき、王都に着いた。余計なことかも知れないが、王都全体に【結界】を張り、王都に魔物が入ってこれないようにした」

「本当か! それは助かる」

「危険だと思えば、王都に入れば大丈夫だから、冒険者達に伝えてくれ」

「分かった」


 ジラールと【交信】を切り、ソディックにも同様のことを伝える。


「分かりました。タクト殿は、他の場所へ行かれるのですか?」

「移動するよりも、ここで戦った方がいいだろう。クロとシロを付けるから、他の場所へ騎士団を応援に出せるか?」

「それでは、ここの戦力が低下してしまいます。ここは王都の正門です。決して破られてはいけない場所なのです」

「確かにそうだ。はっきり言えば、俺の戦いに巻き込まれるから、他の場所へ逃げてくれってことだ」

「しかし……」


 言葉では分からないのだろう。


「俺が最初に攻撃を仕掛ける」

「一人でですか!」

「あぁ、その方が楽だからな――シロ、クロ」

「はい、御主人様」

「何でしょうか、主」

「他の門が心配だ。そっちへ応援に向かってくれ。あっ、シロはピンクーと一緒に行動してくれ」

「分かりました。ピンクー、行きますよ」

「はっ、はい、シロ姉」


 ピンクーは俺のポケットから出て、シロの肩に移動する。


「頼んだぞ」

「はい」

「承知致しました」 


 シロとクロは、全部言わなくても俺の考えていることが分かっているので大丈夫だろう。

 問題はピンクーだが、シロと一緒であれば学ぶことも多い筈だ。

 本人に学ぶ気があればだが……。

 シロとクロを見送って、一呼吸する。


「じゃあ、俺も行くか‼」

「本当にタクト殿一人で大丈夫なのですか!」

「まぁ、少しだけ見ていてくれ」

「し、しかし――」


 俺はソディックの言葉を最後まで聞かずに、魔物の方へ【神速】で移動する。

 騎士たちから俺の姿が確認できるだけの場所で止まり、魔物たちの進行を待ち受ける。



 ――そろそろか。

 俺は【煉獄】で魔物たちを焼き、【雷電】で感電させ、激しい音で聴覚の良い魔物を混乱させる。

 この日の為に新たに覚えたスキルだ。

 この攻撃だけで、目の前にいた魔物たちの七割以上が倒れた。


 攻撃に恐れを、魔物たちの足が止まった。

 いや、先導者からの支持を待っているかのように、立ち止まっているようにも思えた。

 俺の勘が当たれば間違いなく、先導者は奴だろう。

 そう、第五柱魔王プルガリス。


「ふっ、ふふふふ。さすがですね」


 どこから聞こえてくるのか分からないが、空から大きな声が響く。

 後ろから騎士たちの声が聞こえてくる。

 しかし、俺はそれよりも声の主がプルガリスだと気付いていたので、周りを見渡してプルガリスの姿を探した。


「まぁ、これも想定内です。どこまで耐えられますかね」


 どのような方法で、これだけの大きく響く声で話せるのだろうか?

 スキル? それとも、魔道具の類か――?


 プルガリスの姿を探していた俺が、騎士団たちの方を見ていると、騎士団たちが驚きの声を上げる。

 その声に俺は振り返る。


(……おいおい)


 目の前の光景に驚愕する。

 焼け焦げたり、感電した死体がアンデッドとして立ち上がっていた。

 倒したとしてもより強力な魔物に生まれ変わって襲い掛かって来る。

 焼いたとしても骨だけ残っていれば、スケルトンとして蘇っている。

 想定していたが、的中しては欲しく無かった。

 (コア)を破壊しないと、永遠に蘇ってしまう。

 この数の(コア)を破壊することは難しい。

 大見得切って出てきたはいいが……。


 【煉獄】、【雷電】を使用して、無差別に攻撃をして(コア)を破壊する。

 しかし、間違いなく押されている。

 【結界】……範囲が広すぎる。

 シロとクロを呼び戻すか――。

 いや、それよりも有効な方法は……あった。


「ミズチ、アリエル、ノッチ」


 水精霊(ウンディーネ)のミズチと、風精霊(シルフ)のアリエルに、地精霊(ノーム)のノッチを呼ぶ。


「割と集まっているわね」

「面倒臭い……」

「仕方が無いから、力を貸してやる」


 三人ともが、状況は把握しているようだ。


「悪いが、一掃してくれ」


 俺の言葉に返事をすることなく、三人は攻撃を始めた。

 ノッチは地面を割り、魔物を亀裂に落とす。

 ミズチは地面の亀裂から、水を大量に噴出させて、アリエルが起こした竜巻に魔物を巻き込む。

 魔物の他に大量の砂や、水を吸収した竜巻はかなり大きく成長していた。

 竜巻は王都の周囲に幾つか発生して、他の場所でも同じように魔物を吸い込んでいた。

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